バブルは必要悪なのか?
2022年11月3日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
株式市場の「バブル」は必要悪なのか?と問われれば、わたしは渋い顔をしつつも「YES」と答えます。
「バブル」という膨張現象がなければ、
ヒトの進歩は(その速度が)うんと遅くなっていたと思うのです。
一例を挙げてみましょう。
1920年代、
狂乱バブルの時代に一般的になったのが、割賦販売です。
借金して先に買って、
そのあと時間をかけて何回にも分けて代金を払っていけばいいじゃん。
そういう考え方が一般化しました。
これって
企業が設備投資のために、
先に借金をして投資を行い、
あとから代金を払っていくという手法に倣ったものです。
考えてみますと、
「銀行」というところも、
あなたから1000万円の預金を預かりながら、
そのお金でA社に700万円融資し、
200万円は自ら債券に投資をして、
(ホントは100万円しか残っていないのに)
「1000万円の預金はちゃんと保管してますよ」とあなたに言っているわけです。
「信用(クレジット)」に基づく、経済の操業風景です。
板谷敏彦さんの
『金融の世界史―バブルと戦争と株式市場―(新潮選書)』という本の中で、バブルに関して次のような記述が登場します。
「もし「狂騒の二〇年代」が無ければ、
今や、途上国を含む世界中の人々が憧れ、
目標とする家電や自動車、
郊外の一軒家に彩られたアメリカン・ドリームの生活が、
これほど早い時期に到達できたのかと問えば、どうでしょうか。」
たしかに・・。
モノやサービスを求める欲、
自身のお金を増やしたいという熱気は、
経済がその『パイ』を膨らませるために必要なものでしょう。
ただ誤解がないように・・。
わたしは別に「バブル万歳!」と称賛したいわけではありません。
1920年代の熱狂相場のあと、
アメリカ株式市場は
その価値がおよそ1/10になり、
GNPの規模も(最盛期の)6割程度にまで縮んでしまったわけです。
バブル崩壊の影響は(いつも)あまりにも甚大です・・。
ついこの間起こった「ITバブル」が記憶に新しいです。
インターネットが商用化され、
世の中が変わるという期待感が先行して株価が膨らみました。
産業のあらゆる分野で、
「・・.com」と付いてさえいれば
(それは)斬新なサービスを意味したのです。
例えば「アマゾン」の株価など典型でしょう。
(右端は2018年です)
ITバブルの崩壊で、
テック系の名だたる企業群はいちど死にかけています。
実際、何百社もあった
「ドットコム系」の9割以上は泡となって消えていきました。
わたしが今でも思い出すのが「グローバル・クロッシング」という会社。
光ファイバー事業を行っており、
当時メディアで大々的に取り上げられていました。
わたしはこの会社の株式を本気で買おうと思っていた節があります。が、同社は2001年に倒産してしまいます。
夢で膨れ上がった株価が叩き落され、
数多の企業がふるい落とされ、
その後、実需と実利益を持って生き残った企業が(再び)熱狂的に迎えられる。
その後の改めてのバブル。
インターネットの普及開始を1995年とすると、
ITが産業として、
20~30年をかけて成長・成熟していくイメージでしょう。
ところで、
今私たちが直面している相場です。
これを後年「コロナバブル」
あるいは「コロナ暴落?」のように表現することになるのでしょうか。
今回の「コロナバブル」の
アイコン的象徴は
なんといっても『ビットコイン』でしょう。
本日、このブログを書いている途上では
1ビットコイン(US)の価格は20334ドルです。
2021年の11月には6万ドル超えていました。
2017年11月は5970ドル。
2014年はたった300ドル程度でした。
社会構造が根本から変わるためには、
バブルの生成とバブルの崩壊。
その後の改めてのバブルが必要。とすれば、
ビットコインはより大きく下がるでしょうし、
その後の「暗号資産」、
つまりは、
国家の制約を受けない
「情報・財産の保管と交換のシステム」は、時間をかけて大きく成長するはずです。
大いなる「ふるい」にかけられ、
生き残るのはビットコインになるか、
他の暗号資産になるかは分かりませんが、
社会インフラとして成長・成熟するのに
20年~30年かかるとすれば、
ビットコインの使用開始が2009年ですから、2030年代には華開くことになるでしょう。
時代は進むのです。
止まることを知りません。
カテゴリ:経済よもやま話