「iDeCoとつみたてNISA、どっちがいいの?」というマネー記事がなくなることが本当はベストなのです
2022年10月22日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
幼稚園と保育園で
「所管」が違うのは有名な話です。
幼稚園は「文科省」
保育園は「厚労省」
『幼稚園と保育園、両方が必要なの?』という疑問はなかなか掘り起こされていません。
ところで、
NISA制度は「税制改正」という枠組みの中で、
「ああしよう、こうしよう」と議論が行われます。
いっぽう確定拠出年金制度(企業型DC・iDeCo)は、
厚労省の中で制度改正が議論されます。
今日は
物事の根っこのほうを掘り起こす気持ちでお話ししますねw
NISAと確定拠出年金を合わせた
「税制優遇制度」は、
何のために存在するのか?
それは、
特に『公的年金制度』の役割が、
ここ重要なのですが、ほんらい的に
「税制優遇制度が拡充する。ヤッター!」と、
能天気に喜んではいけないのです。
「税制優遇制度」が拡充されればされるほど、
将来「公的年金制度」のボリュームが減っていくことを示唆するためです。
ココ、伝わっていますか?
もう一つ。
何のために「税制優遇制度」は存在するのか?
それは「税制優遇制度」をきっかけに
国民一人ひとりが
自助努力によって資産形成に取り組み、
その結果、自らの資産を増大させ、
国民の購買力の増加をもって
日本経済により貢献してもらいたいという『国の思惑』があるためです。
国富増大に結び付けたいという、国策なのです。
「国策」だから利用しないほうがよい。という意味では全然ありませんよ!
むしろ、国策であるからこそ、
利用できるものはとことん利用して、
自助で増えた資産については、
あくまで「自分ベース」で楽しく利用していくべきなのです。
現在、
厚労省、金融庁という
異なる省庁の思惑が入り乱れ、
『税制優遇制度』は
消費者一人ひとりに、
手間がかかる作業を強いています。
これを痛烈に批評している人がいます。
赤井厚雄さんです。
(株式会社ナウキャスト取締役会長)
わたしが頻繁にチェックする
『NEWS PICKS』というサイト内の、
「イデコ加入69歳まで拡大へ 私的年金、自力の資産形成促す(共同通信)」
という記事に対して赤井さんがコメントされています(2022年10月20日)。
管轄する役所が異なるイデコについて調べ、
NISAのさまざまな類型について調べ、
それからでないと行動が起こせない、
という手間のかかることを国民に強いているから、
日本人の「貯蓄から資産形成(投資)」に向けた動きがいつまで経っても進まないのだ、と私は思う。
まさに同感です。
わたしは
どちらかというと
最小単位の政府を支持するほうの人間です。
保守的(conservative)と云えるでしょう。
政府は放っておくと、
各部署でいろいろな仕事を作りたがるものなのです。
それを抑えつつ、
もっと本質的なデザインの設計、
つまり『グランドデザインの描き方』に、政府は注力すべきと考えます。
税制優遇制度における、
「グランドデザイン」の描き方については、
赤井さんがすでに正解をコメントされています。
制度は、国民目線に立ってシンプルに、
手続きはオンラインかつワンストップに、
という枠組みを整えるのが国に期待される役割であり、
そこに向けてのリーダーシップを国民は期待している、と私は思います。
ホントにその通りだと思います。
シンプルにする、
ということは
結局のところ、
より具体的には、
制度加入、制度の維持の簡便性は「NISA」を規範としつつ、
税制優遇の中身は
非課税ではなく、iDeCoにある「所得控除」をメインとする。
それは「掛け金の限度額」なのです。 現状、しょぼいですね。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の限度額ですが、
たとえば会社員の場合、
月2.3万円の人が多いと思います。
一般NISAでも、年間の拠出限度額は120万円(月換算10万円)。
翻ってアメリカの代表的な確定拠出年金
401(k)プランでは、
2022年の本人の年間拠出限度額が「20500ドル」もあります。
(それに加えて雇用主のマッチング拠出も期待できます)
1ドル145円とすると、
年間297万円!(月に24.75万円です)
『新・税制優遇制度』が
年間拠出限度額を「240万円」とするなら、
(もちろん全額を「所得控除」の対象とします)
政府の仕事は「グランドデザインを描くこと」です。
それ以上でも、それ以下でもありません。
カテゴリ:NISA活用法, 確定拠出年金(iDeCo・企業型)