投資信託の1本化は、タイミングを待っていたら永遠に出来なくなります
2022年10月15日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
実は拙著『つみたて投資の終わり方』には
無料動画(36分)の特典が付いています。
本書をお読みいただいた人のうち、
結構な割合の皆さまに『動画セミナー』もご視聴いただき、また感想もお寄せいただいています。
今日はその中から、
以下の『ご感想』を取り上げてみましょう。
<保護犬シーズーのファンタさん>
準備期間でファンドを一本にまとめる際に、
税金を払ったり、仮に価格が下がっている時だったら、まとめるだけで目減りしそうで、勇気が要りますね。
準備の5年間の中、どこで踏み出すか、タイミングがわかりません。
出口を見据えて、積立投資の時代からファンド一本にしておくのもアリだったのかと感じました。良書をありがとうございました。
ご感想、ありがとうございます!
上記は悩ましい問題ですね。
本書で謳う、
リタイア前の5年間で
『ファンドを1本化 = リスク資産をスリム化』には賛同していただいているようです。
が、実際の行動となると、
なるほど「資産の目減り」が気になるのはごもっともです。
この、「目減り」について少し掘り下げてみましょう。
『8本の投資信託』をお持ちとしましょう。
(一応65歳になるまで働くつもりです)
そして今、
「全世界株式インデックスファンド」に、
リスク資産を1本化させたいと願っています。
図式的に云うと・・・。
↓
Bという大陸【1本のインデックスファンド】へ。
文字通りA大陸から
B大陸への『お引っ越し』なのですが、
今のように、
欧米のしぶといインフレ ⇒ 急速な政策金利の引き上げ ⇒「株式市場」は不安定極まりない。
という状態になると、
足がすくんでしまうのです。
より具体的には、
既存の『8本のファンド価格』が軒並み下落し、「資産額」が目減りする中で、1本の全世界株式イ・ファンドに引っ越すなんて・・。
それはちょっと無理だよ。
んー、
お気持ちお察しします。
B大陸への『お引っ越し』はしやすいのでしょうか?
それが、
しにくいのです。
なぜなら、8本のファンド価格が上昇していればいるほど、ファンドの売却によって、支払わないといけない『税金の額』も大きくなるためです。
んー、悩ましい・・。
既存のファンド群の価格が下がっていても、上がっていても、どちらでも『やりにくいもの』なのです・・(汗)
↓
Bという大陸【1本のインデックスファンド】へ。
資産の『お引っ越し』の本質は(実は)2通りしかありません。
↓
B大陸で、安く買った。
↓
B大陸で、高く買った。
この2通りだけ。 基本、損も得もありません。
『お引っ越し』に際して、
「タイムラグ」を設けないことが基本中の基本となります。
拙著「つみたて投資の終わり方」の中では、
リタイア前の5年間の中で少しずつ、
A大陸からB大陸への『お引っ越し』を説いていますが、いっぺんに『お引っ越し』をしてしまうのも手だと思います。
また、ご質問の中では、
準備の5年間の中、どこで踏み出すか、タイミングがわかりません。
という文章がありました。
踏み出す【タイミング】を、
ファンドの価格(株式市場の状況)で見てしまうと、
(上がっていようが、下がっていようが、)
「今でなくても良いのでは・・」
という言い訳が(行動に)勝ってしまうことでしょう。
あなたの『心の中』に答えがあるはずです。
ほんとうに、
心の底から、
『お金を増やす人』から、
『お金を用いる人』に変わりたい!
変わらないと!
と思えた瞬間が、
リスク資産の1本化に踏み出す『タイミング』です。
ここをエイヤー!と実行してしまわないと、
私たちは永遠に投資の『上り道』のみにこだわる人になってしまいます。
人生の後半で『使うお金』ではなく、
デジタル数字の上で『増えるお金』に満足してしまう人になってしまうのです。
保護犬シーズーのファンタさん
がんばってください!
カテゴリ:リタイアメント・資産の取り崩し, 投資家の感情リスク