「つみたてNISA」は制約があるからこそ、初心者にふさわしいのです
2022年8月17日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
どんな分野でもそうですが、
「ゼロ」・・から・・「イチ」に至るまでがいちばん大変。
時間軸をうんと伸ばしてみると、
いちばん最初(ゼロからイチ)のハードルがもっとも高いのです。
資産運用も同じ。
いっとう最初の・・・
・いくら(金額ベース)買って
・どうしておく?
みたいな、
最初の最初の「大枠部分」を決定すること、
その個々の選択がもっとも難しく、
一度つまずくともうチンプンカンプンで
取り付く島もなく、
悩みの沼にはまり込んでしまい、
結局、運用そのものを断念してしまった人をわたしは何人も知っています。
ある行為を始めるにあたって
何がブレイクスルーになるかといえば、
わたしは『制約』だと思います。
物事を決めやすいですし、続けやすいものです。
ランチのメニューもそうですよね。
いっとう最初の「入口」として、
仮にあなたが『つみたてNISA』を選んだとしましょう。
この「入口」では
ファンドを売却する際に
利益に対して『非課税』という特典があります。
しかしながら『制約』もいくつかあります。
以下に列挙してみますね。
・・別にいいんじゃないでしょうか。
以下、ひとつの考え方です。
もしもあなたに
月5万円の積立余力があるなら、
33,333円/月 つみたてNISAを用い、
残りの
16,667円/月 は
課税口座(特定口座)を用いて、
つみたてNISAと『同じファンド』を積み立てればよいと思います。
これ、事実です。
真面目なあなたは
様々な情報収集をする中で、
複数のファンドを組合わせて
自身でポートフォリオを作ろうと思っているかもしれません。
国・地域だけでなく、
資産の分散もしたほうが良かろうと、
「株式ファンド」+「債券ファンド」をイメージしていたのに、
あろうことか
つみたてNISAでは「債券ファンド」自体がラインナップされていません。
これは大きな『制約』です。
が、決して慌てずに・・。
上記は、
「株式」と「債券」の組合わせ自体が『つみたてNISA』では買えない、という意味ではありません。
専門家に資産配分を組んでもらっても別に構わないのでは?
「バランスファンド」の選択肢は
つみたてNISAにもあります。
自身で組み合わせを考えたり、
債券と株式の比率を自分で調整したりという「手作り感」は(バランスファンドには)ありません。
ちょっと地味で
淡白な感じがするかもしれませんが、
『制約』があることを良いほうに捉えて、
株式、債券(あるいはREIT)の組合わせを、
専門家に任せきると割り切っても別にOKなのです。
継続コスト高めのアクティブファンドはありません
ほとんどのアクティブファンドは
つみたてNISAから外れています。
これは金融庁がファンドに掛かる「コスト」を重視したためです。
一例ですが、
『国内株式のインデックスファンド』の場合、
運用管理費用を年0.5%以下のものに限定しています。
それより運用管理費用が高くなると、
たとえインデックスファンドでも
つみたてNISA適格のファンドとは見なされません。
これは大きな『制約』。
毎月分配金を出すファンドも、
レバレッジ型のファンドも、
最初から「つみたてNISA」から外されています。
面白味がない!というのは事実でしょう。
しかしこれだけ『制約』が為されているからこそ、
初心者の人にとっては
「ヘンな商品」を掴まされる心配もなく、
安心して積立が続けられるというのも(また)事実なのです。
ファンドを売って → 別のファンドを買って、というスイッチングが出来ません
はい、これも事実です。
これまでの2年間、
「Aファンド」を積み立ててきたけれど、
「Cファンド」のほうが良さそうなので、
これまで積み上がった「Aファンド」を全部売って、
「Cファンド」に買い換えるということが、
つみたてNISA口座では出来ません。
これも大きな『制約』でしょう。
「Aファンド」から「Cファンド」に変更することは可能です。
この部分の『制約』があるために、
つみたてNISAで「どのファンドを選ぶべきか?」で、皆さんとてもとても『悩んでしまう』傾向にあります。
「一度決めてしまうと、他のファンドに(資産ごと)乗り換えられない・・」という『縛り』が、悩みの度数を上げていると感じます。
わたしのアドバイスは?
上記は明らかにつみたてNISAのデメリット。
が、そんなに真面目に捉え過ぎないこと。
仮に2年間「Aファンド」を積み立てたあとに、
「Cファンド」のほうが自分にふさわしいと思ったら、
積み立て先を「Cファンド」に換えればよいのです。
(そのうち気にならなくなるレベルになります)
言い方を換えれば、
積み立て先の変更は出来るわけですから、
そんなに神経質に
「今、この時点でベストのベストのファンドを選び切らないといけない!」と、思い過ぎないこと。
はい、上記も事実です。
しかしこれは『制約』とは捉えないほうが無難でしょう。
つみたてNISAでは「非課税期間」終了後も、
「特定口座」で当該ファンドをそのまま保有し続けることが出来ます。
「非課税期間」の満期を迎えたら、売ってしまわないといけないわけではありません。
ちなみに『制約』という点では
iDeCoも負けてはいないでしょう(笑)
こちらはまた別の機会に・・。
カテゴリ:NISA活用法