米国株式(S&P500)にする?それとも全世界株式にする?という設問自体ちょっと変です
2022年7月24日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
先週も(そして)昨日も、
相談者さまから同じ質問が・・・。
それは、
『米国株式(S&P500)と全世界株式、どっちのほうがいいですか?』
もちろん米国株式は強いです。
ハイ、これは事実です。
アメリカ株式は一貫して
世界株式の『中心』でした。これからもそうでしょう。
でも、
「米国株式(S&P500)にする?それとも全世界株式にする?」という設問は、それ自体がちょっとヘンだと思うのです。
少しだけ『視点』を変えてもよろしいですか?
フム?
この設問のしかたって、適切だと思われますか?
まず、日本は東京を含んでいますから
『どっちがいい?』という聞き方より、
日本全体に投資しますか、
それとも、より絞り込んで東京に投資しますか?
と質問するほうが
しっくり来ます。
あなたは、
日本全体に投資しますか、
それとも、より絞り込んで東京に投資しますか?
それと同様に、
米国株式(S&P500)にしようか?
それとも全世界株式にしようか?
という質問設定ではなく、
それとも、より絞り込んで米国株式に投資しますか?」
という設問のほうが
ナチュラルに聞こえます。
※投資に限らず、正しい答えを導くカギは、正しい設問のしかたにあるのです。
6月末現在、
『全世界株式』の物差しである
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスの58.5%は「米国株式」です。
アメリカ株式が
全世界株式のおよそ6割を占めるわけですから、
米国株式(S&P500)に投資しても、
全世界株式に投資しても、
約6割は「かぶっている」わけで、
投資対象としてそんなに大差はないわけです。
そういう意味で
米国株式(S&P500)に投資しても、
全世界株式に投資しても、
投資の方向性はそんなに変わりません。
では、何が違ってくるかといえば、
『国の分散をあえて図るか、図らないか』という点だけ。
「分散(ぶんさん)」?
言い換えれば、
1ヵ国のみに投資するリスク、
『カントリーリスク』をどのくらい深刻に捉えるか(捉えないか)の違いです。
これだけグローバル化が進んだ今日でも、
ひとつの社会(ひとつの国)は
独自の文化的・社会的基盤を持ちます。
米国にも独自のカルチャーがあります。
そして米国における最大の懸念は
『政治的な分断』であるとわたしは思います。
政治的分断と経済的格差が、
深刻な社会の亀裂を生む可能性を孕んでいる・・。
ひとつの意見としてですが、わたしはそう考えています。
もちろん「カントリーリスク」は米国だけでなく、
日本にもドイツにも
トルコにもタイにも中国にも存在します。
それは(どこの国でも)変わらないわけです。
一つひとつの国に固有の『潜在リスク』があるからこそ、
国(カントリー)の「分散」も、
やらないよりはやってたほうがイイよね・・
国の分散をすれば、自然「通貨の分散」にもなる
というのが当クリニックの考え方です。
(あなたはすでに、
『銘柄の分散』については「当然でしょ」というお気持ちでおられますよね?)
また、わたしは若い人ほど
米国株式(S&P500)ではなく、
「全世界株式」の形で投資すべきと考えます。
理由はシンプルで、
全世界株式に投資をするとは、
万一、各国株式市場の「勢力図」が大きく変わってしまった場合に、慌てふためかないように、ヘッジを掛けておくことです。
もしも大勢が変わらなかった場合は?
いや、もっと具体的に、
「アメリカ一極の構造が持続し、
アメリカの株式市場だけが顕著に伸びた場合は・・?」
全世界株式の「物差し」
MSCI ACWI指数に占める米国株式の割合が、66%とか72%とかに増えるだけです。
つまり、
全世界株式を持つ『メリット』とは?
全世界株式は
心配性なあなたに向いています。
そして、
何かに賭けないのがインデックス投資の本質であるとわたしは思います。
本日もお聴きいただき、ありがとうございました!https://t.co/NDyDne3cLH
— カン・チュンド@インデックス投資アドバイザー🙋♂️ (@4649kang) November 11, 2022
カテゴリ:インデックス投資全般