100年ライフプラン

あまりにもナイーブだぜ、昌夫!

2022年7月23日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

私たちは時代の様相に影響を受けながら生きています。

時代の大きな潮流(トレンド)が
個人の生き方を揺さぶるわけです。

 

千葉県に住む「昌夫さん」も同じです。

 

 

 

昌夫さんは23歳。
今春従業員2500人を擁する「大企業」に就職しました。

昌夫さんの会社では
「退職金・企業年金制度」が完備されています。

おまけに入社時に
『退職金か、あるいは前払いか?』という選択肢もあります。

 

さあ、あなたも
23歳の「昌夫さん」の気持ちになってみてください。

 

あなたなら、
「退職金・企業年金制度」を選びますか?

それとも、
その原資分を給与に上乗せしてもらい、
給与の一部として「前払い」してもらいますか?

 

 

 

 

実は今日のトピックには元ネタがあります。

こちらの日経新聞の記事です。
新社会人、「退職金か前払いか?」と聞かれたときの選択

 

 

わたしなら
給与として『前払い』でもらうことを選択します。
2022年現在、
23歳のワタシなら・・。

 

理由はいくつかあります。

 

そもそも退職金・企業年金制度とは、
給与の「後払い制度」です。

この制度が上手くワークしていた時代(年功序列・終身雇用制度)はもちろんあったのでしょうが、今年23歳の昌夫さんとしては、

シンプルに自分の全給与分を毎月もらったほうが「自然」であると思います。

 

 

二つ目は
退職金・企業年金制度を選択することで、

新卒で入った「A社」というひとつの会社に、
気持ち的に依存し始めることを避けたい意向があります。

 

例えば昌夫さんが29歳になり、
本当は「C社」に転職したくなったのに、

将来の退職金のために
A社に居続けようという「考え」ってちょっとおかしくないですか?

 

 

 

 

少なくとも、
今後40年余りの昌夫さんのキャリア・パスにおいては、

どんな形態で「収入」を得ていこうとも、

 

「役務の提供」→「それに応じた収入を得る」。

 

そしてそれを繰り返すという、
『働くこと』そのものに対する一種のドライさが求められると思います。

 

なぜなら時代が大きく旋回しているためです。

 

 

そもそも
昌夫さんは(まだ)23歳です。

 

変化の振幅の大きさすら、捉え切れない可能性がある中、

 

40年後、
昌夫さんが60代になった時のお金の受け取りについて、

2022年現在の『しくみ』が
変わらないことを前提に、

2022年時点でそのチョイスをしてしまう(決定してしまう)というのはあまりにもナイーブではないでしょうか・・。

 

 

 

 

では対となる、

給与の一部として
「前払い」してもらうとは一体どういうことでしょうか?

 

自分の算段で、
より大きなお金を管理していく。ということです。

 

 

シンプルに給与の一部として受け取るわけですから、そのお金は『流動性』に富みます。

使うもよし。貯蓄するもよし。
一部、自身の考えに基づき積立投資するもよし。

8年後、マイホームを取得する際の頭金の一部にするもよし。

 

記事内では、

「前払い」でもらってしまうと、税・社会保険料等で実質の手取り額が減ってしまう金銭的デメリットについて記されています。

それはその通りでしょう。

 

 

 

 

 

しかしながら、
自分の『稼ぎ』を(その権利が発生した時点で)
遅延なく得ていくのは、実は極めて自然なことです。

 

 

お金については若い時から
自分の『裁量部分』を増やしておくことが、お金をうまく扱い、お金を生かす『トレーニング』となるのです。

 

 

(何が起こるかは分からない。)


(もらえるものは先にもらっておく。)

 

「退職金」を選ぶとは、

40年後の金員の受領を
2022年時点で契約するということです。

 

もちろん退職金・年金制度を選ぶ昌夫さんは「安定」を求めてそうするのでしょうが、

 

 

現時点で過剰な「安定」を求めることで、
かえって将来の「不確実性」に対応しにくくなるタネを蒔くことになるのです。

 

 

 

 

冒頭、時代の『大きな潮流』が
個人の生き方を揺さぶると述べました。

 

これから40年、

同じ仕組みが、
真っすぐ伸びる『線路』のように続くと思うなんて・・

昌夫さん、あまりにもナイーブです。

 

私たちはこれから先何が起ころうとも、
(ただ)『変化』に対して適応し、適応し、適応するだけです。

 

いつでも転んで、跳ねて、屈める準備をしておきましょう。
それこそが長期的な意味での「安定」につながるのです。

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