つみたてNISAは「株式ファンド」の一択で果たして良いのか?
2022年7月17日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
「つみたてNISA」という制度を通じて
資産運用に興味を持った人は多いはずです。
積立投資を続けて、
その結果生まれた「利益」がすべて非課税になる・・。
これは実に大きなメリットであり、
このような恩恵がある制度を利用しない手はありません。
が、根っこの部分に戻ってみますと、
つみたてNISAも
「つみたて投資」を行う器のひとつに過ぎません。
投資の『リスク』が軽減されるわけではないのです。←ココ、重要。
価格変動というリスクと付き合う実態は、
通常の口座(特定口座)とまったく同じです。
長期にわたる投資になるから、
株式100%のファンドを選んで、
長期的に期待リターンが高くなる「株式」の恩恵を受けるべきでしょう。
というのは、理屈としては正しい説明だと思います。
結果として、
もしも株式100%のファンドで長期投資が出来て、
大きな含み益が積み上がり、
しかもそれを『つみたてNISA』で行っていたなら、
ほんとうに利益すべてが非課税になるわけです。
・・でもこれって
『美しすぎるシナリオ』だと思いませんか?
わたしは今、
「もしも株式100%のファンドで長期投資が出来て、」
と述べましたが、
それはそんなに容易いことではありません。
この2、3年位で
お客様からこんなコメントをいただく機会が増えました。
YouTubeの動画を観ていて
「株式100%の○○ファンドが鉄板!」「○○株式ファンドを神推し!」みたいに言われていたので、
それ(株式100%ファンド)でいいのかなと思っていました。
フム。
でもこれって?
あなた自身は(まだ)腹落ちしていない「情報の吸収」の段階では?
『株式ファンド』一択で良いのでしょうか?
わたしはそうは思いません。
「株式ファンド」を背中に背負って
つみたてNISAで毎月掛金を積んでいくのは『茨の道』です。
考えてみてください。
非課税のメリットは「旅」の終盤で起こることであり、
つみたてNISAという「旅」の途上では、
際立ったメリットなど何も存在しないのです。
ところで
「投資」と「天気」は実によく似ていますね。
朝から昼にかけて
文句のつけようがない晴天で、
すがすがしいなぁ・・と思っていたのに、
午後4時過ぎから急に空が真っ暗になり、
スコール(驟雨)となった。
晴天から急に激しい雨になる。
このような急激な変化が
「つみたて投資」でも起こります。
もちろん逆のパターンも。
(何度も何度も経験することでしょう)
特に投資の初心者は、
このような『急激な変化』に、
こころとカラダがうまく付いていきません。
また最初、
「雨」は一時的なものと思っていたのに、
それが一週間も一カ月も続いたりする。
もう「うんざり」して、
チェックするたびに「損益の数字」は悪化していて、
なにもかもイヤになって、
つみたてNISAに対する意欲が萎えてしまう・・。
その根本理由は、
〇 想像を超えた価格変動の『不規則性』と、
〇 想像を超えた価格変動の『大きさ』そのものです。
(たとえマイナス25%の下落を想像していたとしても、アタマで理解していたモノと、カラダで実感する下落はまったく意味合いが異なります。)
株式ファンドはその中身が100%「株式」です。
株式市場そのものの変動リスクを
背中いっぱいに背負います。
その株式市場の変動はアットランダムであり、
軌道が前もって知らされていないジェットコースターのように(ときに)なり得ます。
長期にわたる投資になるから、
株式100%のファンドを選んで、
長期的に期待リターンが高くなる「株式」の恩恵を受けるべき。
という説明は、
理屈としては正しいのですが、どこか教義めいています。
「答え」が先にありき、みたいな。
これを実行しないなんて、もったいないよ。
という声すら聞こえてきそう・・。
このような
『唯一のアンサー先にありき論』は、
ゴールの提示とその正当性に重きが置かれていて、
あなたが歩むプロセスと、
あなたの気持ち(感情)がないがしろにされています。
🤔🤔🤔
— カン・チュンド@インデックス投資アドバイザー🙋♂️ (@4649kang) June 18, 2022
結局のところ
長期投資とは
知能の戦いではなく
感情との戦いなのです🧘♂️
これに尽きます。
投資における
一つひとつの選択において、
拠り所となるのは、
あなたの「気持ち」です。
なぜなら、
これ(つみたてNISA)は
誰の投資でもない、
他ならぬ『あなた自身の投資』であるためです。
あなたの時間を使って、
あなたの未来の選択肢を広げるために、
確かな成果の保証もない中、
長期でお金を積み上げていくわけです。
だからこそ、
あなた自身の中から湧き上がる『納得』以上に大切なものはないわけで。
・あなたなりの「答え」が浮かび上がってくるのです。
あなた自身が腑に落ちる
「投資対象」で積み立てをしていくことが正解であります。
そうでないと、所詮長くは続けられません・・。
つみたてNISAは恐ろしく長く続く投資だからこそ、
最初は無理をせず、
価格変動のリスクを抑えられる=債券等も組み入れた「バランスファンド」でスタートする、というのもアリです。
・楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)
・eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)など
もし数年が経過して、
よりリスクを負ってでも
心底「株式ファンド」のほうで積み立てがしたくなったら、
その時点で積み立て先を
「株式ファンド」に変更すれば良いのです。
提示される『答え』に惑わされないようにしてください。
YouTuber、インフルエンサーは
あなたの代わりにリスクを負ってはくれません。
価格変動の『不規則性』
価格変動の『大きさ』を背負うのはあなた自身なのです。