米国株式(S&P500)とオール・カントリー、どちらのほうが『定着率』が高い?
2022年6月26日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資の常識って、
ほんとうはまだ固まっていないのかもしれません。
なにせこの日本では
10人のうち3人くらいしか
投資を実践していないわけで・・。
したがって、
既に投資をしている人たちの間でも、
どんな投資の方法論が優勢なのか? それは刻一刻と変わるものなのです。
その『集合知』は日々アップデートされていると云えます。
今回
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) と
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) の、
ファンド保有者の『定着度』と、
資金の『出入りの具合』について調べてみました。
ファンド保有者の『定着度』が悪いとは・・?
・売り買いをする人が増えるということ。
・しかもファンド価格が高いときに買って、
ファンド価格が安くなると売っちゃうような人が増えると、
ファンドそのもののリターン(トータルリターン)に劣ることになります。
それが分かるのが、
「インベスターリターン」と
「トータルリターン」を比較した棒グラフです。
こちら!
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
画像元:モーニングスター
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
画像元:モーニングスター
S&P500ファンドの『設定来』は、
『インベスターリターン』のほうが高くなっています。
バイ・アンド・ホールドし、
かつ「積立」で同ファンドを積立し続ける人が多いことが分かります。
逆にオール・カントリーの『設定来』のほうが、『インベスターリターン』がトータルリターンに若干劣後しています。
これは意外でした。
またどちらも『直近2年』では
トータルリターンに比べ、
インベスターリターンが大きく劣後してしまっています。
??
新型コロナウイルスから戦争、インフレへと激動の2年間で、
ファンド保有者の『定着度』が下がってしまったことが伺えます・・。
ただし、米国株式(S&P500)のほうが
全世界株式(オール・カントリー)よりも、
「トータルリターン」と「インベスターリターン」の『差異』は小さくなっています。
S&P500ファンドは、設定来、直近2年、直近3年と、ファンド保有者の『定着率』が(オール・カントリーより)高かったわけです。
ココの部分、あえて違いを拡大して述べれば、
オール・カントリー保有者よりもより「腰が据わっている」と形容できるでしょう。
次に、
『月ごとの純資金流入・流出のグラフ』です。
どちらのファンドも優秀といえるでしょう。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
画像元:モーニングスター
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
画像元:モーニングスター
S&P500ファンドは昨年11月、12月の『純資金流入』が驚異的であり、
―12月は単月で800億円を上回る資金流入がありました―
今年に入って流入が落ち着いてきた感があります。
オール・カントリーにもそれは云えますが、
両ファンドとも、
先月(5月)の純資金流入が盛り返しているのです。
マーケットの乱高下にも関わらず、
ファンド保有者の『定着率』は総じて高く、
積立投資への意欲、
つまりは「積立持続率」が高いことが伺えます・・。
旧来の、
短中期的なリターンを志向する投資家からなる『ファンド』では、
市場のボラティリティが高くなると、
「純資金流入」が細る傾向がありました。
今のところ両ファンドにはその予兆は見受けられません。
これは日本の投資家が少しずつ『進化』している証左ではないでしょうか。
何が個人投資家にとって必要な『心構え』なのかが、浸透してきているとわたしは感じます。
最後に、
国内設定の投資信託の、最新の『純資産総額ランキング』です。
上位14本のファンドの中に、インデックスファンドが5本も入る時代になっています。
20年前の自分に見せてあげたいですね(^^)
カテゴリ:インデックス投資全般, 投資信託あれこれ