円安時の投資パラドックス、円高時の投資パラドックス
2022年6月9日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資の世界では
「不思議なこと」が起こります。
国際分散投資をしている人、
すなわち円建ての資産よりも
外貨建ての資産を多く配分して「ポートフォリオ」を組んでいる人は、
「株価↓ 円安」のパターンです。
ごくたまに、
「株価↑ 円安」のパターンになることもあり、
運用資産をある程度積み上げている人は
(円建てで見た、ファンドの基準価格ベースでは)
ダブルで値段が上がってしまうのです。
ヘンです。
でもヘンな状態も含めて、
グローバル分散投資なのです。
〇 あなたは今「外国株式インデックスファンド」に投資しています。
以下『4つのパターン』に遭遇する可能性があります。
円高 | 円安 | |
株価 ↓ | 最悪 | そこそこ |
株価 ↑ | そこそこ | 最高 |
『最悪』のケースとは?
リーマンショック時でしょう。
リーマンショックで株価は暴落、
2007年まで1ドル122円くらいだったのに、
2008年の12月には
1ドル90円を割り込む円高に・・。
『株価↓ 円高』
踏んだり蹴ったりとは、このことを云います。
そもそも為替は、
特に先進国の通貨同士の「シーソー」では、
20年超の時間スパンで見ると、
8割方の時間は「なぎ(凪)」の状態。
すなわちレートはあまり動かない。
残り2割の中で「あらし(嵐)」が吹きます。
(日本円を主人公に置くと)
円高が急速に進むとか、円安が加速するとか・・。
例えば「ドル・円レート」は
株式市場と違って、
ドルの価値がずっーーと右肩上がりとか、
円の価値がずっーーと右肩上がり、
ということはないわけです。
基本「大きなレンジ」の中で上がったり下がったりを繰り返すのみです。
資産運用の本質は
株式市場の価値が上がってくれること。
これがもっとも重要なことです。
為替は「おまけ」。
「株価↑ 円安」の状態になったりしてますが、
すべての人にとって『ダブルで美味しい』のでしょうか?
NOです。
まだ投資を始めて5年未満で
資金の積み上げの途上にあるあなたにとっては、
円安の状態で
外国株式インデックスファンドを毎月積み立てるのは、
(ファンド内の株価100ドルの米企業を、)
同じ1万円で
より少ない株数(口数)しか買えないわけですから、
つらい。状況です。
おまけに株価が上がっていけば、
同じ1万円の積立で
より少ない口数しか買えなくなります。
ほんとうは
資金の積み上げ途上の人にとっては、
先ほどは「踏んだり蹴ったり」と申し上げて失礼しました・・。
要は「誰を」主人公にするかで、
(株価↑円安)が
ダブルで美味しくなったり、
踏んだり蹴ったりになったり、
また(株価↓円高)が
ダブルで美味しかったり、
踏んだり蹴ったりになったりするわけです。
つまり、カンさん。何が言いたいの?
為替、為替であまり騒ぎすぎない!
です(^^)
ただ、
一つだけ『注意喚起』したいことがあります。
まだ資金の積み上げ期にいるあなたにとっては、
「株価↑ 円安」は本当は「つらい」状況・・
特に米国上場のETFで
資金を積み上げている人がけっこう「つらい」のです。
米ドル建てでETFの価格が表示されるためです。また円をドルに替えて購入する必要があるためです。
本当は外国株式インデックスファンドも「円安」時には同じように「つらい」のですが、
投資信託は「円建て」で価格が表示されるため、円安時の「つらさ」がダイレクトに伝わりにくくなっているのです(購入時も「円建て」であるため。)
ここの違いは意外に大きいです。
米国上場ETFと投資信託を比較した場合、
これは明らかに投資信託の「メリット」といえるでしょう。
カテゴリ:経済よもやま話