世界市場ポートフォリオとは?(井の中で育ったカエルが人工衛星から世界をざっくり捉えること)
2022年3月14日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
もしもわたしが江戸時代に生まれていたら・・。
一山超えてとなりの村に行くだけで、
初めて見るものがあって「へえ~」という驚きがあったかも。
通行手形を持ってもしもお伊勢さんに御参りできたら、
見るもの聞くもの初めての連続で、
パチパチ瞬きばかりさせていたのでは?
投資の「との字」も知らない時、
私たちは井の中のカエルです。
何しろ情報が限られていて、
井戸の中が
世界のすべてと思ってしまうわけです。
ちょっと投資の勉強をしても、
自分の国の市場、
すなわち、
自国の株式や自国の不動産、
自分の国の人が囁く情報がほとんど『全てだ』と思ってしまいます。
タテ5メートル、ヨコ5メートルの枠の範囲なら、
もっとも良さそうな『投資対象』が
「これこそベストじゃないか!」と勘違いしてしまうわけです。
つい50年前くらいまで、
みんなそうでした。
橘玲さんの本に
『臆病者のための株入門』(文春新書)があります。
同書の中で橘さんは
【世界市場ポートフォリオ】の考え方を披露しています。
経済学的にもっとも正しい投資法とは、
世界市場全体に投資することなのである。
たったの2行!
ここに辿り着くまでに、
長い歳月と
人々の思考の深化と
道具の進化。
両方が必要でした。
ETFでは
「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(VT)が2008年に米国で設定され、翌09年から楽天証券などで購入が可能になりました。
VTはまさに1本の商品で『世界市場ポートフォリオ』を再現したもの。
ただ、インデックスファンドのほうは
「日本を除く」全世界株式、
「eMAXIS 全世界株式インデックス」しか選択肢がありませんでした。
当該ファンドは2010年の設定。
全世界株式を網羅する「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」が登場するのは2017年。なんと7年も待たないといけなかったのです。
そして翌18年「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が設定されます。
『世界市場ポートフォリオ』という考え方には、
『2つの要素』が入っています。
資産マーケットとしての「大きさ」
インフレーションを上回る
結果リターンを上げてきた「実績」、
また、自己増殖していく
私たちヒトの「健全な欲」を上手く取り込むしくみを内包します。
その代わり、株式は時に
ジェットコースターのようにその価格が乱高下します。
(※ちなみに株式市場は、大規模な戦争を何度もくぐり抜けてきました)
世界の株式市場全体に投資するって、
どこの国の人から見ても、
同じ行為 = 普遍的な行いです。
どこの国で食べても
「ビックマックって同じ味だよね」の感覚に似ています。
シンガポール人にも、
チリ人が実践しても、
ハンガリー人が買っても、
世界の株式に投資を行うって「同じこと」なのです。
もちろん投資の成績も同じ。
偏り(バイアス)も、
有利・不利もありません。
あえていえば、
全世界株式(MSCIオールカントリー・ワールド・インデックス)はおよそ6割がアメリカ株式(米ドル建て)なので、
アメリカ人にとっては
為替リスクが相対的に小さいという有利さは存在するでしょう。
ところで『投資の情報』には累積的な効果があります。
一次の情報に触れ、
それをきっかけにその一次情報を「是」とする情報を、無意識に積み重ねてしまうのです。
それが、私たちの感情に直に訴えかけてきます。
「ワタシ、この会社の調味料が好きだから!」という理由で、食品会社の株を買うほうが、情報と感情とそして行動が、こう一直線に(分かりやすく)つながりますね。
これって『ワタシ本位の情緒的な視点』です。
もしもあなたが
まだ海外に行ったことがないなら、
全世界株式(47ヵ国)に投資を行う
Slim 全世界株式(オール・カントリー)の中で、
行ったことがあるのは
1/47 ニッポンだけ、ですw
これって、
『ワタシ本位の視点』がほぼゼロ・・。
とてもオトナな視点なのです。
【世界市場ポートフォリオ】の考え方って、
井の中のカエルが、
人工衛星の端っこに乗っかって、
空から広く世界全体を捉えるような世界観なのです。
けっこう大胆な行い・・・・。
繰り返しですが、
ETFでは2008年、
インデックスファンドでは2017年になってからです、
【世界市場ポートフォリオ】が1つの道具で再現可能になったのは・・。
カテゴリ:インデックス投資全般