つみたて投資, 経済よもやま話

不況の足音が聞こえています(個人のマネー管理で心掛けるべきこと)

2022年3月11日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ウクライナ戦争は長期化する気配が濃厚になっています。

お叱りを受けるかもしれませんが、
今からは
壮絶な戦乱の中におられるウクライナの人々から離れて冷徹に申し上げます。

 

今回の戦争が長引けば長引くほど、
戦禍そのものによる損害より、
経済(金融)制裁が引き起こす損失のほうがはるかに大きくなると考えます。

 

 

そもそものきっかけはコロナ禍でした。

いびつな供給制約が起こり、
(また人手不足も相まって)欧米でインフレが加速しました。

そしてウクライナ戦争という惨禍が加わり、
経済制裁によって
世の中のさまざまな場所に人為的な「壁」が出来、

供給制約に拍車がかかろうとしています。

 

 

 

 

その結果、悪い性質の高インフレが忍び寄っているのです。

 

 

日本に住んでいるとまだ実感が湧かないかもしれませんが、
若干のタイムラグを置いて
モノ・サービスの価格上昇(それも跳ねるような上昇)が起こってくるでしょう。

同じパーセントで賃金の上昇も起きないと、
生活は苦しくなります。

 

 

1980年代以降に生まれた人にとっては、
どんどん物価が上がる(そしてお金の価値が希薄化する)という現象は、おそらく初めて知覚することではないでしょうか。

 

 

石油、天然ガス、石炭等に関しては、
もともと先進各国の『脱炭素化』→ 化石燃料への投資が減退 → 価格の上昇を招いていました。

 

今回の化石燃料価格の高騰は、

 

・脱炭素化(Co2ゼロエミッション)のムーブメント、
・新型コロナウイルス
・ウクライナ戦争
という、
『3つの要因』が積み重なって起こっています。

 

(もちろん小麦、とうもろこし、パラジウム、希少ガス等の供給制約 → 価格高騰も深刻です)

 

 

モノを製造する企業側からすると、
これまでは20のコストでモノが作れたのに、
それが30、40のコストになる・・、

しかも原材料の調達から製造まで、
これまでより「より長い時間と手間」を要するようになると、

それは企業収益にダイレクトに影響します。

 

 

国家のコスト増も深刻になり得ます。
今回のウクライナ戦争を機に
国同士、地域間同士がより緊張することになれば、
国・地域を守るためのコスト(国防軍事費)が増加するためです。

 

 

閑話休題

 

 

 

 

不況の足音が近づいているということは、
あなたのお仕事にも影響があるかもしれないということ。

 

どうして株式市場が好調なときに、
人は身の丈を超えたリスクを取ってしまうかというと、
総じて(世の中「好況」→ あなたの仕事も順調)だからなのです。

その逆もまたしかりで、

世の中「不況」→ 株式市場「下落」だけでなく、
あなたのお仕事も不調になるリスクを自覚しておくべきです。

 

〇 もしかするとボーナスが削られるかもしれません。

〇 仮に3年、4年後のお子さんの学資のため、
投資信託を積み立てているとしたら、
早めに全解約してしまうのも手だと思います。

なぜなら引き出すべき時期が近づいているため。)

 

〇 もしもあなたのポートフォリオ上、
『リスク資産』の割合が(想定より)高くなり過ぎているなら、
今のうちに臨時のリ・バランスをしておきましょう。

 

 

〇 また仮に給与がダウンする、
つみたて投資の積立額を減らす必要が出てくれば、

 

減額する『順』は、
特定口座 → つみたてNISA → iDeCo と覚えておきましょう。

 

 

跳ね上がるような物価上昇が起きて
しかもそれがある程度続いてしまうと、

あなたが持つ(例えば)26万円
モノを買うチカラが

少しずつ少しずつ
減じてきて、

 

 

 

 

5年、6年も経つと、
「26万円」というお金に感じる価値のようなものが、今とは明らかに変わってしまうのです。←ホントです。

 

 

・ほんとうにクルマは必要でしょうか。
・2台ではなく1台では無理でしょうか。

・このような時こそ「保険の見直し」の好機かもしれません。

 

今から述べるのは私見ですが、

コロナ禍、ウクライナ戦争と災禍が重なってしまったため、
『マーケット・サイクルの見方』を軌道修正する必要があるかもしれません。

 

株式市場は
2020年のコロナショックという『トンネル』を抜け、
一時は薄日が差しかけていました。

わたしもそういう認識をしていましたが、

実はマーケット側に立ってみると、

 

2020年に陥った『トンネル』そのものは(実はまだ)続いていて、これから先、2020年の3月につけた安値に迫る可能性がいよいよ高いというのがわたしの見解です。

 

(ただし、ウクライナ戦争の進展次第で方向感は大きく変わるでしょう)

 

 

すみません・・
何やら悲観的なことばに聞こえるかもしれませんが、

まだつみたて投資を始めて日が浅い人にとっては、

 

これは
「千載一遇のチャンス」
なのです。

 

 

 

 

去年からつみたてNISAを始めたばかりの人。

積立始めてたった10ヵ月で
もう休止する(解約する)なんて、間違いですよ。

 

毎月3万円
30年間(360ヵ月)計1080万円積立する予定なら、
投資の実行はまだ 10/360 ですから・・。

 

 

ファンド価格がどんどん下がっても、
同時に平均購入単価もどんどん下がり、
絶好の仕込みの『チャンス』になります。

なにしろまだ 10/360 なのです・・。

 

最後に、物価上昇は長期金利の上昇をもたらします。

 

 

画像元:ウォール・ストリート・ジャーナル

 

上記は3月11日現在の数字ですが、オーストラリアはあっという間に長期金利が2%を超えました。ドイツもマイナス金利からあれよあれよという間に上昇し、日本を追い抜いています。

その日本でも、
長期金利が0.5%、1%に近づいてくれば、

 

3月募集の初回金利が0.12%の『個人向け国債10年物』も、もっと金利が高くなることでしょう。

あるいは証券会社にお金を預ける際も、
『MRF』を用意するところが増えるでしょう。

また、もしかすると『円建てMMF』も復活してくるかもしれません。

私たちはすでに異なる経済時代の入り口に立っているのです。

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