ロナルド・リードさんが9億円超の資産を築けた秘密は、DRIP(ドリップ)「Dividend Reinvestment Plan」にあり その1)
2022年1月23日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ガソリンスタンドの店員
(のちに百貨店の清掃員)だった
ロナルド・リードさん(1921-2014)は、
亡くなられたときに
9億円以上(約800万ドル)の資産を遺されました。
保有銘柄は90以上に上り、
亡くなられた際、
資産ベースで多く保有していたのが、
生活用品のP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)、
歯磨き粉のコルゲート・パーモリーブ、
ウェルズ・ファーゴ銀行、
アメリカン・エキスプレスなどです。
フム。
たしかにそうですね。
P&Gの株価チャートを見ても
そのすさまじい成長ぶりが分かります。
リードさんの投資スタイルは
一度株式を買ったら持ち続ける『バイ・アンド・ホールド』なのですが、億万長者になれた理由は(実は)株価の上昇だけではありません。
リードさんは作業服を着て労働に勤しむいわゆるブルーカラーで、収入は決して高くはありませんでした。
『週給』が出ると、←米国では一般的。
その中から株式に一定割合投資をするスタイルで(いわゆる積立投資)、とても質素に倹約しながら生活されていました。
実はリードさんの資産形成の秘密は?
(株価そのものの成長だけではなく、)
無手数料で
自動的に再投資してくれる「仕組み」の中にありました。
これをDRIP(ドリップ)と云います。
いや、そのドリップではありません..。
アメリカの証券業界にあって
日本の証券業界にないもの。
それがDRIP(ドリップ)なのです。
DRIP → Dividend Reinvestment Plan
(Dividendって「配当」のこと)
日本語でいうと
配当金自動「再投資」制度。です。
これは結構すごい仕組みです。
たとえばあなたが今、
『任天堂』の株を持っているとしましょう。
このとき、
ドリップ(DRIP)の仕組みが利用できれば、
○ 無手数料で
○ 任天堂から出た配当金というお金を用いて、
○ 自動的に任天堂の株式に追加投資ができます。
その結果、
あなたが保有する任天堂の「株数」が増えます。
(結構すごいと思いませんか?)
実際、アメリカの「DRIP」(ドリップ)は、
―たとえばP&Gとしましょう。―
P&Gの配当金が出れば、
〇 無手数料で、
○ たとえ1株に満たなくても、端株の状態で(自動的に)P&G株に追加投資ができるのです。
その結果は?
ロイドさんが保有するP&Gの「株数」が増えることになります!
(実際リードさんは
誰もが知る優良株式、
それも「配当金」をきっちり出す企業を選んで買っていました。)
ちょっと振り返ってみましょう。
日本とアメリカの『証券業界』の本質的な違いとは?
株式の「配当金」をどうする?という『選択肢』の差なのです。
「ドリップ」(DRIP)を用いて再投資してもよい。
日本にはDRIPの制度がありません・・。
株主優待もそうですが、
日本では、定期的に「お小遣い」のように
金員(配当金、分配金など)を受け取ることが「トクな事」という思い込みがあります。
でもそういうお金って
受け取ってしまえば、
お友達と飲みに行ったり、
プチ旅行に行ったりして跡形もなく消えてしまうわけです。
この「DRIPの仕組み」の導入でしょう。
リスク資産を持ち続け、
配当が種(タネ)となって更なる実を育てる「複利の効果」のダイナミズムを、今こそ伝えるべきではないでしょうか?
仮にあなたがアメリカ人で、
1998年頃、
P&Gの株式を『1株』取得したとします。
当時のP&G社の株価が37ドルだったとします。
もしもP&Gが
4、7、10、12月と年に4回
1株につき0.47ドルの「配当金」を出していたとしたら?
年間で1.88ドルになりますね。
このお金(1.88ドル)を、
株価37ドルのときに
仮に『DRIP』で自動再投資できたとすると・・
(課税なし・無手数料ですよ。)
保有株数が0.05株分増えることに・・。
(したがって)あなたの保有株数は『1.05株』になります。
あなたが1.05株分のP&G株を保有する中で、再び・・・
次回に続きます・・)