インデックス投資全般, 世界投資的紀行

中国を除く新興国株式ETFってどうなのでしょう?(相談者さまからのご質問)

2021年12月17日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

仮に高橋さん(仮名)としましょう。

高橋さんは現在、
日本株、先進国株、新興国株式を組み合わせ、
株式部分のポートフォリオを作っています。

 

今、新興国株式については
「MSCIエマージングマーケッツ指数」との連動を目指すETFを保有されていますが、どうも「中国」の先行きを心配されているようです。

ハイ、お気持ちはすごーく分かります。

 

 

 

 

中国では現在、共産党のさじ加減ひとつで、
ある分野については後押しし、

また別の分野についてはあからさまに抑え込む、
たとえば教育産業など、
市場そのものを壊滅させるようなことまで実行しています。

専制国家主義とでも云うべき事態です。

 

(米国市場に上場した中国企業を、
共産党の圧力で上場廃止に追い込むなど、狂気の沙汰としか思えません。)

 

実は、中国株式を除いた新興国株ETFは存在します。

「i シェアーズMSCI 新興国株式(除く中国)ETF」 (EMXC)

 

 

 

当該ETFの純資産額は10億ドルに届きませんが、
大きさとしては十分でしょう。

また、1日当たりの売買高も平均して45万口以上あり遜色ありません。

 

おっと、その前に「おさらい」です。

まずは
MSCIエマージングマーケッツ指数「国別組み入れ比率」を見てみましょう。

一般的な新興国株式インデックスファンド、新興国株式ETFは、こちらの指数との連動を目指します。

 

 

中国の割合は34%を超えています。

では(仮の話ですが、)
i シェアーズMSCI 新興国株式(除く中国)ETF (EMXC)に乗り換えた場合、

この中国の割合が消滅し、
韓国、台湾、インド、ブラジル、トルコなどの比率が高くなることになります。

それは別段気になりませんが、

 

たとえばエジプト、カタール、ペルー、コロンビアなど、時価総額の小さな市場もそれなりの組入れ比率になるわけです。

 

これが果たして健全な姿と云えるのか?

 

もしも、今の新興国株式ETFを高橋さんが持ち続け、仮に、中国の専制主義がこのあと長く続き、中国株式の時価総額が成長せず、逆に小さくなっていくなら、

それは?

新興国株式指数の中で、中国株式のプレゼンス(存在感・割合)が減退していくだけの話です。

 

 

 

 

中国という「部分」が気になる、
この「部分」に固執したくなるお気持ちは分かりますが、

「部分」「部分」を足し合わせたモノが『全体』です。

 

そしてインデックス投資とは、広く浅く『全体』を保有する投資手法です。
まさに『全体』のみに
固執し続けることが得策と考えます。
(全体を構成する、部分、部分は時間とともに勝手に変遷するわけです。)

 

 

中国という国は
4000年の君主(王)制と、
それを奪取するための権力闘争の歴史です。

 

 

 

 

今回の習近平体制の「共同富裕」というスローガンも、
まさに権力闘争の中で、
危機感を持って打ち出された政策なのかもしれません。

そのスローガンの中身が苛烈であればあるほど、
裏を返せば、権力維持に必死になっている証左かもしれないわけです。

(これは毛沢東の文化大革命という政策に色濃く表れています。)

 

ウルトラCのように聞こえるかもしれませんが、

わたしや高橋さんの予想に反して、今から3年後に習近平が失脚し、

市場主義を支持する共産党内の勢力が、権力を奪取する可能性もゼロではないわけです。

 

さまざまな可能性を勘案して、そのまま新興国株式ETFを保有し続けましょうと、高橋さん(仮名)にはお話しました。

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