コスト高になったインデックスファンドを乗り換えるか否かの『目安』を知る方法
2021年10月9日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
今ではよりコストが安くなったインデックスファンドが存在します。
ですので「ファンドの乗り換えをしようか?」と
悩まれるお気持ちはよーく分かります。
ただ、
今日はよりコストが安いイ・ファンドに
乗り換えるべきか否かの『目安』を知る方法をご紹介しましょう。
ここでは『先進国株式インデックスファンド』を例に挙げます。
(※ 以下、運用管理費用以外の
「その他コスト」はかからないものと仮定します)
Bファンド 運用管理費用 年0.1%
あなたはこれまでずっと「Aファンド」を積み立ててきました。
このたびよりコストがより安い「Bファンド」に
乗り換えるべきか悩んでいます。
Aファンド(運用管理費用0.6%)での運用資産額は
すでに1,000万円まで膨らんでいます。
年間で支払う運用管理費用は・・?
およそ『6万円』です。
(※ 簡易計算しています。
実際はファンドの価格はアップダウンするため
年間で支払う運用管理費用はブレてきます)
仮に今、
Bファンド(運用管理費用0.1%)にすべて乗り換えたとしましょう。
そのまま1,000万円ベースの運用を続けると・・?
年間で支払う運用管理費用は
およそ『1万円』で済みます。
(※ こちらも簡易計算。)
Aファンド、Bファンドの「けいぞくコストの違い」は
年間およそ『5万円』になりますから、
これから15年間、
このコストの違いが続くとすると・・
(=あなたがこの先、15年間Bファンドを持ちつづけるとすると、)
15年間 × 5万円
およそ『75万円』分のメリットが発生します。
※ これがモノサシとすべき「ひとつ目の数字」
さて、次は?
既存の「Aファンド」にいくら『利益』が乗っているのかです。
以下、一例です)
Aファンドの運用資産額1,000万円のうち、
650万円が元本で
350万円が【利益】だとすると、
Aファンドを今すべて売ると、
350万円に対して20.315%が課税されます。
税金額は・・?
約『71.1万円』です。
※これがモノサシとすべき「ふたつ目の数字」
最低向こう15年はBファンドで運用を続けるつもりなら、
15年間で約『75万円』のメリットが生じることを考えると、
さらに今は「簡易な計算」を示しましたが、
実際は、あなたは『つみたて投資』を続けていく人です。
上記事例のように
Bファンドに乗り換えをすれば、
Bファンドで「積み立て」を続けるわけですから、
仮に月3万円の積立でも、
向こう15年間「積み立て」を続ければ、
資産が積み上がるわけで、
これらはすべて
運用管理費用 年0.1%で積み立てができるわけです。
ですから今の事例でいえば、
実際は運用期間が向こう15年に満たなくても、
Bファンドに乗り換えるほうが得になってきます。
もう一点、悩ましいのは税制です。
岸田新首相の意向もあって、
2022年度の「税制改正」で
金融所得課税の見直しが議論される可能性が高くなっています。
たとえば、
金融所得が1000万円を超える人に限り、
税率を30%に引き上げるなど、
『制限付きの改正』であれば、
それほど大きな影響は出ないと思われます。
しかし、
金融所得に対する『一律の税率引き上げ』となると影響は甚大です。
「Aファンド売却」の際の、
【利益】に対しての税率が25%や30%になると、
最後に先ほど、
AファンドからBファンドへの乗り換えで
と記しました。
中には、一括で新たなインデックスファンドを購入することに躊躇する人がいるかもしれません。
でもよーく考えてみますと、
上記事例ではAファンドをすでに1000万円分保有していたわけですから、
一度に売って一度にBファンドを買い付けても、
背中に背負う『リスク量』に変化は起きません。
(どちらも同じ「先進国株式インデックスファンド」ですし。)
ここは複雑に考えずに
「Aファンドすべて売る。⇒ Bファンド一括買い」を貫くようにしましょう。
『運用管理費用の累積的なコスト差』それに『売却時の税金の支払い額』を比較することが、インデックスファンドの乗り換えをすべきか否かのポイントとなります。
カテゴリ:インデックス投資全般