インデックス投資全般

運用管理費用『ゼロ%』のETF、インデックスファンドは可能なのか?

2021年9月22日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

実はすでに、
運用管理費用『ゼロ%』のインデックスファンドは登場しています。

たとえば
フィデリティ ZERO トータルマーケット・インデックスファンド」は全米株式に投資を行いますが、こちらの年間経費率はゼロ%です。

また日本でも
野村アセットマネジメントが、
当初10年のみですが、運用管理費用ゼロ%の「野村スリーゼロ先進国株式投信」を2020年に設定しました。

 

 

ETFのほうは、
ちょっと変則的なのですが、
アメリカのソーシャル・フィナンス社が、

設定した年(2019年)のみ経費率を『ゼロ%』にする
SoFi Select 500 ETF」の運用を始めています。

これら運用管理費用がゼロ%のETF、インデックスファンドは、現状他のサービスを利用してもらうための「呼び水」として機能している点が否めません。

(スーパーマーケットの目立つ所に陳列してある
「格安ティッシュペーパー」のイメージでしょうか。)

 

「ヒトが汗を掻いて商品を作っているのだから、
やっぱり費用がタダというのは変だ。」

 

と思うのは、なんら不思議ではありません。

ただ
ETF、インデックスファンドの継続コストを
限りなく『ゼロ』に近づけることは実は可能です。

 

特定の指数との連動を目指すのが
インデックスファンド(含むETF)ですから、

『指数』の中身を完全に再現するのではなく、

 

より簡便に
より安価に『指数』との連動が実現できれば、
その分コストは抑えられるはずです。

 

(これは『最適化法』と呼ばれる銘柄の組み方になります。
あるいは現物の銘柄ではなく『先物』を組み入れることでコストを抑えることも可能。)

 

また、バンガード社のETF「VTI」のように
純資産額が100兆円を超えるような超巨大ファンドになれば、

証券会社に発注する銘柄(株式)の売買委託手数料も、
限りになくゼロに近づけることが可能でしょう。
(いわゆる『規模の利益』が働くわけです)

 

また、インデックスファンド(含むETF)の継続コストの中で、
決して低くない割合を占めるのが
指数使用料(ライセンスフィー)ですが、

これも自前で指数を作ってしまう、
あるいは共同で指数を開発することでコスト削減は可能です。

 

実は冒頭の
「フィデリティ ZERO トータルマーケット・インデックスファンド」もそう。

当該ファンドは、
『フィデリティU.S. Total Investable Market指数』との連動を目指します。

あるいは「SoFi Select 500 ETF」もそうです。
Solactive社と開発した『Solactive SoFi US 500 Growth 指数』との連動を目指しています。

 

 

またファンド(ETF)が保有する株式等を貸し出すことで、収益を得ることも可能です。

これは『貸株』(レンディング)と呼ばれます。

インデックスファンド(ETF)が保有する株式を
証券会社を通じ、信用取引を行う投資家などに
貸し出すことで相当な『金利収入』が得られるのです。

(これもファンド(ETF)の規模が大きくなるほど有利ですね)

 

先ほどバンガード社のETFを例に
『規模の利益』を挙げましたが、

日本の投資信託(含むETF)でひとつ残念なのは、
小さめのファンド(含むETF)が多すぎること。

 

6000本以上のファンド(含むETF)の中で、
ほとんどが純資産額100億円以下の小規模ファンドなのです。

インデックスファンド(ETF)であれば
同じ指数との連動を目指すもの同士であれば
『ファンドの統合』が出来ますから、

法令によってこれを強力に後押しするべきでしょう。

 

すると
『規模の利益』が生まれます。

 

仮に6000本のファンドが、
1000本程度に集約されれば、
1本あたりのファンドに生じる経費(コスト)は大きく下がることでしょう。

 

今後は『スマホ』と『アプリ』が金融サービスの主戦場となります。

 

 

このような状況下、
一部のインデックスファンド(ETF)の継続コストはゼロになり得ると考えます。

 

・顧客のデータ提供を前提に
「トータルマネー管理」のプラットホームが生まれる。
・プラットホームの『使用料』はサブスク形態とする。

特定の商品のみ有料で販売、あるいはAIと人の「ハイブリットコンサル」を有償で提供。主要なインデックスファンド(ETF)は継続コストを『ゼロ%』にして、顧客との継続取引の足掛かりとする。

こんな未来がそう遠くないうちにやって来るかもしれません・・。

カテゴリ:インデックス投資全般

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