インデックス投資全般

インデックス投資『メイン』アクティブ投資『サブ』のような世界になったらどうなるのでしょうか?

2021年8月7日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

みなさん、クレーンはご存じですよね。

 

 

このクレーンは鉄の塊でさえ、
数十メートルも持ち上げることができます。

その鉄の塊を、
「ひとつの株式」と捉えてみましょう。

 

個別株を選好する投資家や
アクティブファンドの運用チームは、
一所懸命、株価が上がりそうな会社を探し、それを『クレーン』で持ち上げます。

結果、その会社の株価は上昇します。
(もちろん持ち上げられすぎて、あとから下落する場合もありますが(^^)

 

いっぽう「選ばれなかった会社」は?

誰からも持ち上げられることがなければ、
その会社の株価はやがて沈んでしまいます。
(市場から「退場」する企業も出てくるでしょう)

これがマーケットを支配する『優勝劣敗の法則』です。

 

「人よりも多く儲けたい!」という人間の性が、
無意識に銘柄選別を行い
結果として資本(お金)の最適配分が行われ、
今日も市場は上がったり下がったりしたよね。ということになります。

 

市場が、
アクティブ投資『メイン』
インデックス投資『サブ』なら、

銘柄の『決死の選別作業』(アニマルスピリットのおかげ!)を終えたあと、その日一日の「市場平均」が出来るわけです。

 

インデックス投資家は独り言ちます。

~今日も効率的な「市場平均」が出来上がってくれて、有り難いことだ。~

 

 

では、です。

もしも、の話ですが、

 

インデックス投資『メイン』
アクティブ投資『サブ』のような世界になったら・・
どうなるのでしょう?

 

冒頭『クレーン』のお話をしましたが、

インデックスファンド、ETFは、
市場全体を持ち上げるクレーンです。

 

 

このクレーンが市場内で大きな影響力を持つと、

成長が著しい会社だけでなく、
成長性が乏しく赤字を垂れ流している会社も、
一定程度「持ち上げて」しまいます。

アクティブ投資が『メイン』であるうちは問題ないのですが、

 

市場全体を持ち上げるクレーンが、
個別の銘柄を持ち上げるクレーンより「数」が多くなると厄介なことになり得ます。

 

市場内での『優勝劣敗の法則』が効きにくくなるためです。

 

 

ほんらい、
銘柄選別機能の結果として現れる「市場平均」が、
(つまりは、
アクティブ投資が汗を流した結果としてのインデックス投資が、)
【主従】が逆転し、
先にインデックス投資が「市場の流れ」を作ってしまうことになると、資本の最適配分機能が損なわれてしまうことに・・。

 

 

 

インデックス投資を批判する識者の、

インデックス投資は
成長性が乏しく赤字を垂れ流している会社も、
一定程度「持ち上げてしまう」という指摘はその通りだと思います。

 

が、いっぽうで
コロナ渦による「過剰流動性の相場」の中、

 

もしも
今よりインデックス投資の比率が低く、
アクティブ投資 『超メイン』
インデックス投資『ごくごく一部』の世界であったなら、
たとえば米国のハイテク企業は
今よりもっと買い上げられていた可能性があります。

 

(人より)より儲けたい!と果敢に意思表示するのがアクティブ投資ですから。

 

これから先も、
アクティブ投資とインデックス投資の力関係がどうなろうと、
「株式市場」の営みそのものが変わるわけではありません。

個人的には
そうそう簡単に
インデックス投資が『メイン』になるとは思っていません。

なぜならここ数年、
何となく気分半分で「インデックス投資家」になっている人が大勢いるためです。

 

これは私見ですが、
インデックス投資家の「胆力」が試されるときが
やがてやって来るのではないでしょうか?

 

そう、市場が大きく調整、暴落するようなときです。

 

もちろんこの種の「売り」も
まずはアクティブ投資家が先導するわけですが、
市場が下がり続けると、

ETF、インデックスファンドは
市場全体を「持ち上げる」クレーンから
市場全体を『持ち下げる』クレーンとなります。

 

ここでインデックスファンド等を持ち切れない人たちが解約に走ると、
ETF、インデックスファンドが
市場全体をより「持ち下げる」機械に変貌し得るのです。

 

 

 

特にアメリカにおいて、
これほどインデックス投資の比率が高くなった状態で迎える『暴落』というのははじめてですから、
市場のダウンの仕方が具体的にどうなるのかは読み切れない部分があると思います。

 

いったんインデックス投資に対する過剰な?高評価が下火となって、そして再びアクティブ投資に目が向けられ、

インデックス投資の
市場における占有率が下がり、
その結果またインデックス投資の効率性が増し、

やがてまたインデックス投資が肥大化し・・
そしてまたアクティブ投資が・・

 

というふうに、超長期のスパン(30~50年)で見れば、

「アクティブ投資」と「インデックス投資」は綱を引き合いながら、一方的にどちらかが有利になるということもなく、共存していくことになるというのが、今のわたしの考えです。

カテゴリ:インデックス投資全般

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