リターン、リスク、相関係数の中でいちばん信頼できるのは「リスクの大きさ」です その2)
2021年7月10日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
お金を増やしたいと願う投資家が
リターン、リスク、相関係数という3つの「要素」を提示されたら、
もっとも関心を寄せるのはおそらく『リターン』でしょう。
リターン・・、魅惑的なことばです。
たとえば、
という事実は魔物のように人を惹きつけます。
そして人はそれ(過去のリターン)を前提に、
自身の投資のリターン(これから先のリターン)も、同じように運ぶはずだと認識してしまうのです。
ココ、多くの人が陥りやすい罠(わな)でしょう。
話は変わりますが、
あなたが今、クルマを運転しているとしましょう。
ときに『バックミラー』も見ます。
すでに過ぎた道のりですね。
これが『過去のリターン』です。
これから先、あなたが進む道は
過去の道のりとはまったく別の、未踏の道のりです。
これが『未来のリターン』。
未踏の道はほんらい別物なのです。
この「別物」の意味は、
今まで走ってきた道のり通りに、
これから先の道のりが現れるわけではないということ。
『未来の成績』を保証しません。
両者はまったく別物である的な文言は、
投資信託の運用レポートの隅にも小さく書いてある事実です。
再掲となりますが、
過去のものが未来にも使えるが、
「過去」と「未来」はまったく別物であり、
(したがって使えない・・)
(相関係数)については、
まあ、ある程度過去の「関係性」が続く。
この文章は
何度読んでおいても損はありません。
個人の資産運用で衝撃的なのは、
もっとも華やかでスポットライトを浴びる「これから先のリターン」という概念ほど、あやふやなものはないよという帰結なのです。
(以下一例ですが、わたしも使用したことがある
『マイインデックス』というサイトの
「資産配分ツール」の利用には注意が必要でしょう。
なぜなら、
このポートフォリオの「平均リターン」の数字は、
各投資対象の『過去の』リターンの加重平均であるためです。)
また各金融機関、年金基金の運用主体などは、
『未来の成績』を保証するものではありません。
と記す必要があるため、
『期待リターン』という概念を使用するようになっています。
だれもまだ踏み込んだことのない「未来のリターン」の予想平均値のこと。
予想ですから、
これは各運用主体によって細かな計算法が異なります。
先ほどクルマの例で、
未踏の道のり(未来のリターン)と述べましたが、
未知の道のりを正確に言い当てられる人はいません、
『参考程度』に留めておく必要がありそうです。
これから長くお金を増やす行為に携わる中で、
もっとも『当てになる情報』は、リスクの大きさなのです。
つまり、その投資対象のリターンが、
どの程度ブレるのかという
『ブレの大きさ(=リスクの大きさ)』。
その次に当てになるのが
異なる資産間の相性の良さ・悪さを示す『相関係数』。
そしてもっとも『当てにならない情報』こそが、
明日以降の未来のリターンである。
とくに好調すぎる今日の金融市場ではたいへん重要となるでしょう。
「有効フロンティア」を正しく弾き出すこともまた容易ではなく、
であるなら、資産の最適な組み合わせに時間を割くよりも、
常識的な「資産分散」「国・地域分散」「投資時期の分散」に終始するほうがストレスレスな資産管理が続けやすいと、この仕事を20年以上続けてきてようやく実感する次第です。
最後に、リスクの大きさを「2標準偏差」程度と捉えれば、
画像元:マイナビニュース
国内株式も外国株式(先進国株式)も
46~50%程度下落する恐れがあるわけです。
皆さん、肝に銘じておきましょう。
カテゴリ:ポートフォリオ運用