リターン、リスク、相関係数の中でいちばん信頼できるのは「リスクの大きさ」です その1)
2021年7月9日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
今、あなたの目の前に、
〇 日本株式
〇 先進国株式
〇 先進国債券 という、
『3つの置物』(投資対象)が置いてあるとしましょう。
これらを組み合わせて、
あなたは「いっちょ、ポートフォリオでも作るか!」
という気持ちになりました。
あなたは『3つの置物』(投資対象)のウラ側を見て、
それぞれの、
2.リスクの大きさ(Risk)
3.(異なる資産との)関係性(Correlation)← これが相関係数
をチェックしたくなりませんか?
どうして、このような「かしこまったこと」をしたくなるのか?
それは、今日の『分散投資』の核となる理屈を、
私たちが無意識に受け継いでいるからです。
ズバリ申し上げましょう。
ハリーさんが1952年に発表した論文が、『モダンポートフォリオ理論』のはじまりであるといわれています。
「何なの、その理論って?」
そんなに堅苦しく考える必要はありません。
『モダンポートフォリオ理論』とは
昔からある投資の知恵を、理論的に整理整頓し直したものなのです。
いわく、
それぞれの投資対象の「リスクの大きさ」
異なる投資対象間の「関係性」を知ろうよ。
その中で期待できる「リターン」を最大にできるような資産の組み合わせを目指そうよ!
という『メッセージ』が同理論には込められています。
ちょっと整理しておきましょう。
過去に起きた【損益】の数字
その【損益】のブレの大きさを捉えた数字
複数の投資対象のリターンの、「異なり具合」の数字 です。
画像元:マイナビニュース
上記では、日本株式、外国株式(先進国株式)、
外国債券(先進国債券)とも、きちんとリターンとリスクが「数値化」されています。
(『期待リターン』の意味合いについては次述しますね。)
画像元:三菱UFJ国際投信
上記は『相関係数』の数字ですが、これは異なる投資対象間で、どの程度「値動き」が似通ってきたか、あるいは違ってきたかを「数値化」したものです。
その資産の組み合わせはかなり「相性が良い」と解釈され、ポートフォリオのリスクは大きく軽減されます。)
以下、仮のお話ですが、
リターン、リスク(標準偏差)
関係性(相関係数)のすべてにおいて、
【過去に起きたことが、
そのまま未来にも起こる】ものなら、
私たちはかなり正確に、
ポートフォリオ(資産の組み合わせ)の
リスクとリターンの『最適ポイント』(最適配分)を導けるはずです・・。
が、残念ながら、
世の中、そう甘くはないのです。
実はわたしはFPになって間もない頃に、
山崎元さんの
【年金運用の実際知識】という書籍を購入しました。
(なんと初版は1997年!)
同書の中に、
次のような文章があります。
過去のデータを用いることについては、
W.Sharpeが
うまくまとめた表現が印象に残っています。
彼は、アセットアロケーションを行う場合に
過去のデータ(histric data)は、
標準偏差に関しては
「非常に有用」(quite useful)で
相関係数に関しては「そこそこに有用」
(reasonably useful)だが、
期待リターンに関しては
「ほとんど役に立たない」
(virtually useless)と書いており、
この文章を、
わたしは繰り返し繰り返し暗唱してきました。
上記はまさに
あなたが資産の組み合わせ(ポートフォリオ)を創る際、
過去のものが未来にも使えるが、
「過去」と「未来」はまったく別物であり、
(したがって使えない・・)
(相関係数)については、
過去の「関係性」が続く。 と言及しており、
見事に、リスクとリターンと相関係数の『特徴』を喝破しているのです。
続く・・)
カテゴリ:ポートフォリオ運用