インデックスファンドの運用管理費用が「ゼロ」になり得るわけ
2021年6月18日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
あなたは「レコード」ってご存じですか?
音楽の音源が詰まった、あの薄くて黒い円盤状のものです。
むかしはレコードを貸してくれるお店がありました。
(「貸しレコード店」と呼ばれていました)。
私は中学1年のときに
友人と貸しレコード店に行って、
ビートルズのベストアルバム2枚を借りました。
友だちの家でそのレコードを再生し、
カセット(磁気テープが詰まった小さな箱)に録音するのです。
これが↑カセットテープです。
家にレコードプレーヤーがなかった私は、
そうやって音楽を楽しんでいました。
(ちなみに貸しレコード店では、アルバム1枚あたり200~300円程度のレンタル料金を課していました)。
今では、レコードもカセットテープも使いません。
10曲ほどの歌が入ったアルバム(CD)を単体で買うことも滅多にないでしょう。
今は「サブスクリプション」といって
月極めで料金を支払えば、基本音楽は聴き放題です。
(ところで、)私はゲームはやらないのですが、
まったく興味がないわけではありません。
たとえば月極めの料金で、
何百というゲームから選択ができ、ゲーム機器(ハード)も込みで利用できるようになれば、ゲームにもぜひチャレンジしたいです。
音楽も映画も、そしてゲームも、
それを利用する価格は安くなっていますが、
質(クオリティー)が下がっているわけではありません。
音楽、映画(映像)、ゲームなどのコンテンツを包括して、
より広範な『サブスクリプションサービス』を仕掛けてくる可能性があります。
そして、
その中に間違いなく、金融サービスも『含まれる』ようになるでしょう。
〇 最初は決済サービスとして。
〇 次は余ったお金の置き場所(預り金口座)として。
〇 次は貸し付けや運用や保険商品として。
というカタチへ変遷していくわけです。
そして、
金融のサービスが「単体」で提供されることも(やがて)なくなっていくのでは?
以下、夢想ですが、
仮に「Aというプラットフォーマー」が
音楽、映画(映像)、一般商品、ゲーム、金融サービスを含めて、
月極めの会員料金990円~を設定し、
仮にプレミアム会員(月2000円~)になれば、
(運用サービスに関しては)
主要な株価指数との連動を目指すインデックスファンドは、運用管理費用を『ゼロ』に致します。
なんて文言が示されても、私はそんなに驚かないでしょう。
実際の話ですが、2018年に米国フィデリティ・インベストメンツが、
年間経費率「ゼロ」のインデックスファンドの運用を始めています。
「フィデリティ ZERO トータルマーケット・インデックスファンド」は全米株式に投資を行います。
「フィデリティ ZERO インターナショナル・インデックスファンド」は、米国以外の先進国、新興国の株式を網羅します。
日本でも昨年、
野村アセットマネジメントが、
当初10年のみですが、
運用管理費用ゼロの「野村スリーゼロ先進国株式投信」を設定しました。
もちろんインデックスファンド単体で見れば、
けいぞくコストを徴収しない商品は、運営側にとっては『赤字』です。
『App(アプリ)』を介して、
音楽、映像、ゲーム、金融、その他生活サービスとして包括された「一大プラットフォーム」上で、月極め料金を支払う前提でいえば、
運用管理費用ゼロのインデックスファンドが増えてきても、なんら不思議はないでしょう。
クリス・ アンダーソン著
『フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略』という書籍から引用しておきましょう。
今日、市場に参入するもっとも破壊的な方法は、
既存のビジネスモデルの経済的意味を消滅させることだ。
つまり、既存ビジネスが収益源としている商品をタダにするのだ。
先ほど申し上げた、
『仮にAというプラットフォーマーが』
のAは、アマゾンであり、もしかするとアップルであるのかもしれません。
カテゴリ:金融機関にモノ申す