インデックス投資家のオトナの事情とは?
2021年5月22日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
まずは火星のお話を。
先週、中国の火星探査機が
火星着陸を成功させたニュースをあなたはご存じですか?
画像元:ブルームバーグ
(日本ではあまり報道されていなかったような・・)
遡ること数ヵ月
今年の2月に、
アメリカの火星探査機も火星着陸を成功させ、
その後、火星の大気に含まれる二酸化炭素から
酸素を取り出すことに成功しています。
画像元:Engadget日本版
米中の最先端のテクノロジー競争は
その舞台をすでに『宇宙』に移しているのです。
政治的、経済的に、
中国とアメリカは熾烈な覇権争いを繰り広げると考えます。
もちろん、この大局的な影響を
私たちインデックス投資家も受けます。
結論から言えば、
ライバルがいて、競争があって
互いに切磋琢磨するという現実は、世界株式にとっては『プラス』だと思います。
(米中一触即発のリスクもなくはないですが・・)
冒頭、中国の火星探索のニュースが
あまり報道されないと述べましたが、
それは、日本がアメリカ陣営に属するからであります。
中国の経済圏みたいなものを作ろうとしているの?」
Yesでしょう。
経済的な結びつきの濃淡を基準として、
おそらく地球儀ベースで今後、
中国のブロック経済圏、
アメリカのブロック経済圏というふうに
大きな棲み分けが見られるようになるのでは?
今、中国の『一人当たりGDP』はやっと1万ドルを超えたところですが、
インデックス投資家としては、
いつの日か中国が
MSCI World Index(先進国株式指数)に
組み入れられる日が来ることを、
現実的にイメージしておいたほうがよいと思います(特に投資期間が長くなる若い人は!)
かつて日本をはじめとした先進各国は、
石油という資源を安価に入手し、
工業化社会の成功モデルを築きました。
今は?
「情報」を資源とする高度なデジタル社会に移行する途上です。
情報蓄積の量と、
情報処理技術の高度化は比例するため、
国家として「情報」を安価に隈なく取得できる中国の優位性は、なかなかに崩れにくいとわたしは考えます(良い・悪いは別として。)
また中国は、世界の主要国の中でいちばん早く、
国が発行するデジタル通貨を流通網羅させることになるでしょう。
何を今さら、と思われるかもしれませんが、
インデックス投資家は、
(特に全世界株式に投資を行うインデックス投資家は、)
好き・嫌いにかかわらず
「中国株式」にも投資を行う人なのです。
あなたはその事実に、居心地の悪さを感じたりしますか?
視点を変えてみます。
中国の新疆ウイグル自治区で、
ウイグル族やカザフ族の人々が強制収容所に送られ、
多くの人が行方不明になっています。
これが事実とするなら深刻な人権侵害であり、
道義的に看過できるものではありません。
新興国株式インデックスファンドへの投資を止めるのでしょうか?
(実は)新興国株式インデックス(MSCIエマージングマーケット指数)に占める中国株式の割合は37%を超えています。
わたしは、止めません。
中国政府が人権侵害を行っていることを自覚しても、
居心地の悪さを心の中で感じていても、
わたしは中国企業への投資を続けます。
『市場全体』に投資をするとはそういうことなのです・・。
わたしは冷えたタオルで全身を覆い、
その会社が、その国が、
「好きか・嫌いか」という次元を超えて、
道徳的、道義的に、
「正しいか・正しくないか」ということも脇に置いて、自らの感情のわだかまりにもフタをして、
ひたすら冷徹に欲を持って投網する・・・・・。
(実際、インデックスファンドは
貸金業にもたばこ会社にも軍需産業にも投資を行っています。)
インデックス投資にはオトナの事情が存在するのです。
(完璧無垢な投資などあり得ません。)
カテゴリ:インデックス投資全般