指数のお話

フッチィーと読みます。→ FTSE世界国債インデックスの変容について

2021年3月20日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ふだん「主役」は株式です。
債券がテレビのCMに出ることはほとんどありません。

地味で目立たない債券ですが、
利息収入という収益源を持ちます。
ただ、利回りの高さだけが重要というわけではありません。

〇 その債券(ここでは国が発行する債券「国債」)が、
十分大きな市場規模を有するのか。


また、

〇 外国人投資家にもその市場(国債市場)にアクセス権があるのか。


あるいは、

 

〇 その「国債」を発行する政府の信用度は高いのか。

 

そういったことを加味して、
投資に値する国債なのかどうかを客観的に判断すべきでしょう。


とは言いながら、
個人投資家が独りで各国の「国債」の
『市場規模』『アクセシビリティ』『信用格付け』をいちいち調べるのはたいへん難しい。

そこで『インデックス(指数)』の出番となるわけです。

 


たとえば「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」をお持ちのあなた。

同ファンドは
FTSE世界国債インデックス(除く日本)』との連動を目指します。

FTSEは「フッチィー」と読みます。
英語では FTSE World Government Bond Indexと書きます。

(以前はシティグループ世界国債インデックスと呼んでいました)


ここからは日本を含む
『FTSE世界国債インデックス』についてお話しますが、

同指数は世界の主要国の国債を「ワンパッケージ化」した指数です。
(1984年に算出を開始)。

 

実は株式の指数と同じく、
債券の指数も、組み入れる「構成国」が変遷していきます。

 



〇 FTSE世界国債インデックス(旧シティグループ世界国債インデックス)は、

2007年マレーシアが追加。
2010年ギリシャが除外。
2010年メキシコが追加。

2012年ポルトガルが除外。
2012年南アフリカが追加。

(年は特定できませんでしたが、
ポーランドも同指数に入っています。)

2020年イスラエルが追加。
2020年南アフリカが除外。

そして2021年10月に
中国がFTSE世界国債インデックスに組み入れられる予定です。


〇 『FTSEラッセル、中国国債を世界国債インデックスに採用
(ブルームバーグ)

 



 

現在の、
FTSE世界国債インデックス構成国は日本を含む22ヵ国

(※外国債券インデックスファンド、
あるいは先進国債券インデックスファンドと呼ばれる投資信託を保有する人はすべて、
FTSE世界国債インデックス(除く日本)との連動を目指すことになります)





画像元:ファクトシート(構成国↑22ヵ国)


普段あまり意識せずに
「外国債券インデックスファンド」をお持ちかもしれませんが、

「外国債券インデックスファンド」を持ち続けるだけで
地政学的な新陳代謝が定期的に行われ、
市場の変化に自然に追随することができるのです。

これこそ、インデックス投資のメリットでしょう。
(まさに指数は『生き物』なのです!)

 



「通貨」も多岐に分かれていますね(こちらは「除く日本」のパターン)

画像元:交付目論見書(20年10月30日現在)


また、格付けにおいては、
BB格(いわゆる投機的格付け)以下の国債はひとつもありません。





画像元:運用報告書(21年2月26日現在)


それもそのはず、
同指数の組み入れ基準として
格付けがBBB-以上という縛りがあるためです。

(逆説すれば、ギリシャも南アフリカもこの基準に抵触したため、組み入れから外されたわけです。)


さて、40年近く続いてきた同指数ですが、
今年の中国国債の組み入れはエポックメイクな出来事となるでしょう。

 

以下、ゴールドマン・サックスが
中国の組み入れ比率を予想しています。

ゴールドマン、WGBI指数の中国国債組み入れ比率予想を5.1%に下方修正
(ロイター)


中国はすでに世界第2位の債券市場です。
外国人投資家へのアクセシビリティを高めることは、
あなたやわたしのような投資家の収益機会を広げるとともに、

中国自身にとっても資金調達の多様化を促すことになり、
まさにウィン・ウィンの関係になることは疑いようがありません。

最後に・・脇役(債券)がいるから、主役(株式)が引き立つのですよ。

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