インデックス投資全般

今日はETFが生まれた日です

2021年1月29日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ちょっとだけ昔話です。

今から28年前の今日(1月29日)
現存する最古のETFである、
『スタンダード・アンド・プアーズ預託証券』

スパイダーS&P500 ETF」(銘柄コードSPY)が、アメリカン証券取引所に上場を果たしました。

寒さ厳しいニューヨークで、
SPYの初日の売買高は100万口を超え、上々の滑り出しとなりました。



画像元:Wikipedia


しかし、次の日の出来高は約48万口に。
結局同年2月11日までに1日の売買高は
2万口程度にまで減少してしまったのです。


それもそのはず、
ETFというまったく新しいツールに対して、

これをどう位置付ければよいのか、
当時の金融関係者には十分理解されていませんでした。

〇 証券会社は?
「それは株じゃないよね」と囁き、

〇 投資信託の運用会社は?
「それは投信じゃないよね」と呟きます。

 




ETFは Exchange Traded Fund の略です。
直訳すると「証券取引所で直接取引されるファンド」となります。

シンプルに言えば、
ETFは
取引所に上場する『インデックスファンド』なのです。


・・そうなんだ。・・


ココ、たいへん重要なのですが、

S&P500に連動を目指すインデックスファンドも、
S&P500に連動を目指すETFも、
その中身【ファンドの構成銘柄】は同じです。


「ETFとインデックスファンドの中身が同じなら、
別にインデックスファンドだけでもよくない?」
と、あなたは思われるかもしれません。


「どうしてETFが必要だったの?」
というのが、今日の物語の核心部分なのです(^^)

 

ETFが開発されるきっかけとなったのは
1987年10月19日の『ブラックマンデー』でした。 

 



その日アメリカ「ダウ平均」はたった1日でマイナス22.61%に!

暴落の原因は、
アメリカの財政赤字、貿易赤字の拡大、
また、ドル安でインフレ懸念が高まる中、政府が政策金利を引き上げたためとされています。


こういうとき、プロの投資家
大量の売買を執行できる「インフラ」を有しているので有利ですね。

(たとえば、ですよ)

1987年10月19日の午前9時37分に、
○○証券は10億円分の株式を売却。
△△証券が、36億円分の株式を売却。


プロの投資家はその日の売り注文の気配を見て
「これはただならぬ事態だ!」と、
いち早く気づくことが可能でした。

(そしてこれは皮肉な結果なのですが)
自ら行う大量の「売り注文」が、
株価の下落に拍車をかけてしまいます。


ところが個人の投資家、
とくに『投資信託』の形で資産を保有する人は
1987年の10月19日、なす術がありませんでした。

なぜなら投資信託は
『一日に一回しか』値段が付かないためです。


仮に午前10時ごろに、
「うわぁ、なんかタイヘンなことになりそう」とあなたが気付いたとします。

実際、『市場平均』はどんどん下がっていくわけです。






ところが1987年ですから、まだネット証券はなく、
あなたは証券会社にひたすら電話するしかありません。

「すぐにわたしの○〇株式ファンドを売ってください!」と。

ところが、投資信託の約定は、
その日マーケットが閉じたあとに確定する『基準価額』ででしか行われません。


結局、ブラックマンデー当日、
投資信託を保有していた個人投資家は
テレビのニュース画面を呆然と眺めるしかなかったのです。

換言すれば、

〇 市場平均への連動を目指し、
〇 かつ機動的に売り買いができるツールへの
『潜在的なニーズ』が存在していたということ・・。


これこそ、ETF誕生の遠因なのです。

今日は、ETFが生まれた日です。

カテゴリ:インデックス投資全般

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