あなたは親を裏切ることになるかもしれません。少なくともお金回りの基本的な考え方については・・
2021年1月10日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
まずは「具体例」を挙げてみましょう。
親御さん。64歳とします。
(親御さんはあなた自身のご両親かもしれませんし、
パートナーのお父様、お母様かもしれません。)
親御さん世代は、
あなたから見れば人生の先輩です。
生き方、仕事に対する取り組み方、子育て、処世術など学べることは実にたくさんあります。
ただ、こと『お金』に関しては、
あまり参考にしないほうが(もしかすると)良いかもしれません。
なぜかといえば、
お金回りのことで親御さん世代が『経験した』ことと、
あなたが今『経験している』ことが、あまりにも違いすぎるためです。
あなたは社会人になって以降、
ほぼ『ゼロ金利』しか経験していません。
普通預金にお金を預けて
「利息」が付いてお金が増える。
こういう感覚はおそらく皆無ではないでしょうか。
(あなたにとっての銀行は、
文字通り「お金を預けておく」ところなのです。)
ところが親御さん世代は
預金で「お金が増えた」という経験(成功体験)を持っておられます。
この『余韻』はけっこう強烈で、
たとえば銀行が『毎月分配型の投資信託』を勧めてきた際に、
分配金の利回りが6%、7%にもなるんですよという言葉に
「へぇー、そうなんだ」となびいてしまった理由にもなっています。
親御さん世代は、
終身保険、個人年金保険などが
「けっこう利回りのよい貯蓄」として機能しました。
それは、
金利の高い時代の、
長期の、
固定金利商品だったためです。
しかし、あなたには
終身保険、個人年金保険など必要ありません。
なぜならそれは、
ゼロ金利時代の、
長期の、
固定金利商品であるためです。
(貯蓄性の商品を求めるなら、
「個人向け国債10年物(変動金利です)」のほうが良いでしょう)
物価上昇(インフレ)が恒常的な時代は、
住宅ローンを組んでも、
借金の実質的な大きさが逓減していきました。
また親御さんの世代では、
自分が購入した住宅資産の価値が上昇した経験を持つ方が少なくありません。
ところが、あなたは?
デフレ時代にローンを組むことは
借金の実質的な大きさを増すことにつながります。
また購入した住宅資産の価値は
目減りしていく可能性が高いとわたしは考えます。
親御さん世代・・儲けるため
あなた・・人生を切り拓くため
親御さん世代・・逃げ切れます
あなた・・受給額が削られる、
支給開始時期が繰り延べされる可能性あり。
その他、
働き方そのものについても、
「会社に入ったら〇〇〇で□□□しなきゃダメだぞ」みたいなことを言われるかもしれません。
でもそれはうんうんと頷きながら、
聞き流してください。
なぜなら、
あなたと親御さん世代では、
会社と働き手の基本的な関係、距離感が異なりますから。
(伸るか反るかのギャンブルではなく)人生時間をかけ、
自らの生活レベルを向上させるために
長期・分散・つみたてで行っていくものだという主旨が、
なかなか(親御さんには)理解しづらいかもしれません。
「投資なんて危ないぞ。止めておけ!」と、あなたは(もしかすると)言われるかもしれません。
そして誰でも、否定的に見られるコトを、
実践し続けるのはけっこうつらいもの。
あなたは道徳的な規範や、
人として大切なことの多くを
親御さんから学んできました。
わたし自身、自分の親を尊敬していますし、
今の自分があるのは親が愛情を注いでくれたおかげです。
私たちはある意味、
親がやってきたことを裏切らないといけないのです。
ご両親はお金回りの特定の事柄で
熱心に「○○するように・・」と言われるかもしれません。
これに一切悪気はなく、
ご両親は純粋に
ご自身の成功体験からそれを勧めてくるだけなのです。
カウンセリングの例で申し上げると、
これまで親御さんと密な関係を築き、
経済的に安定している相談者さまほど、
親世代のスタイルを否定することに抵抗を感じる方が多いようです。
(お気持ちはよーく分かります)
ただ、
あなたは「親が亡くなったあと」も
生き続けなければならないわけで・・。
わずか29歳しか年齢が違いわない親と、
こうもお金に関する考え方が違うのは、
それだけ世の中の変化のスピードが早くなっているからなのです。
カテゴリ:お金の摩訶不思議