インデックスファンドとアクティブファンドの違いについて
2021年1月7日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
個別カウンセリングを実施していると
ときに本質的な質問をくださる相談者さまに遭遇します。
例えば・こんなケース)
わたしはよく、
「もしも世界の株式がA社からJ社までの10社で成り立っていたら・・」というたとえ話をします。
このように抽象化したほうが
インデックスファンドとアクティブファンドの違いが分かりやすいためです。
その相談者さまは
こんなふうに質問されました。
「カンさん。もし世界の株式がA社からJ社の10社で成り立っていたら、
そして、
インデックスファンドもアクティブファンドも、
A社からJ社まで隈なく保有していたら、
『ファンドの成績』ってそんなに違わないのでは?」
フム。
<あなたはどう思われますか?>
実は、この場合も、
インデックスファンドとアクティブファンドの成績は大いに変わり得るのです。
たとえ両ファンドとも、
A社、B社、C社、D社、E社、F社、G社、H社、I社、J社
〇 アクティブファンド
A社、B社、C社、D社、E社、F社、G社、H社、I社、J社
というふうに、
A社からJ社の10社を組み入れていたとしても、
その『組み入れ比率』が異なるためです。
投資信託の世界では
「どの銘柄を組み入れるか」も大切ですが、
実は「各々の銘柄をどのような割合で保有するか」という構成比率こそが、ファンドの成績にダイレクトに影響します。
(逆に言えば、そこが
アクティブファンドのファンドマネージャーの腕の見せ所なのです。)
今、あるアクティブファンドが、
この配分の数字そのものが、
そのアクティブファンドの『意思表示』と云えます。
(これから先、株価が大いに上がるだろうという予測なしに、
誰がH社を26%も保有しますか?)
A社~J社の時価総額の大きさ、流動性の高さも考慮に入れながら、
マクロ経済の動向、
業種別の景況感、
個々の株式の割安感、割高感を測り、
中期的な展望、大胆な予測も交えて、
たとえばF社については
ほんらいは「10%」の組み入れだが、
不確定要素を考慮してあえて組み入れを「5%」に抑え、
また数ヵ月のタームで好材料が出る可能性があると見て
組み入れ予定「2%」だったI社を「4%」にするなど、
人の判断による微妙な調整も行いながら、
上記「構成銘柄比率」は決定されるわけです。
(そして、随時「変更」もされるわけです。)
このような運用チームの、
あるいはファンドマネージャーの「投資観の表れ」「変化」は、
どこかアート(芸術)を思わせる部分があります。
A社からJ社まで
どのような構成比率になるのかを、
ファンドマネージャーが
いちいち自分で決めるわけではありません。
それはあらかじめ『設計図』のほうで決まっているのです。
??
その精緻な設計図は、
A社からJ社までを仕切りで区切っており、
その「仕切りの大きさ」は
A社からJ社の、
会社の大きさの比率で定められています。
大きな会社は「大きな仕切り」
小さな会社は「小さな仕切り」
ちょっと硬いことばで言うと、
これを、
時価総額の比率での組み入れ。
そしてそれが毎日自動更新される・・と言います。
A社~J社の株価は毎日変わりますから、
個々の「仕切りの大きさ」も、
つまりは銘柄構成比率も、日々の温度のように自然に上下するのです。
インデックスファンドは人の能力に依る、というより、
自然科学の現象を利用している道具と云ったほうがよいでしょう。
そこには、
毎日更新される市場の絵、
A社~J社の『勢力図』という絵があるのみで、
イ・ファンドはそれをただ
手元で復元しているだけなのです。
これを「市場平均の図」と言います。
(市場平均とは冷徹な観察眼そのものなのです・・)
カテゴリ:インデックス投資全般