インデックス投資全般

米国ネバダ州のスティーブさんは、インデックス投資家の鏡です

2020年9月21日

こんにちは。
投資信託クリニックのカン・チュンドです。

 

あのー、パソコンの種類は何ですか?


はい、たしか『デル』のPCです。

モニターはふたつありますが、
いたってふつうのデスクトップ型のパソコン。

その部屋にいるのはスティーブさんです。

 


スティーブさんは休みの日は
家でビールを飲みながらフットボールの試合を観戦しているような、ふつうのアメリカ人です。


ランチは基本タッパーに入れた、
昨日の残り物やサラダであり、

もしも奥さまが作ってくれた
BLTやツナのサンドイッチが入っていれば、その日は『素晴らしい日』になるのだそう・・。



スティーブさんはこう言います。

「1回の昼食に10ドルも使いたくない」


ちょっと、
インデックス投資家っぽくないですか?

 

 





画像元:ウォール・ストリート・ジャーナル

 


今、お話ししたのは
わたしの空想ではありません。

ウォール・ストリート・ジャーナルの記事
3.6兆円運用担当者は1日何しているか 「何も」(2016年10月21日)】に基づいています。

 

実は、
スティーブ・エドマンドソンさんは
個人投資家ではありません。

運用総資産350億ドルを誇る
【ネバダ州職員退職年金基金】の最高投資責任者(CIO)なのです。

そう、仕事として投資を行っている人!

 

(でも、失礼ながら、そんなに偉い人には見えないのですが・・)








当記事内に書かれている一行一行が、
まるでインデックス投資のエッセンスを、ギューッと凝縮した『金言』のように聞こえてきます。


まず、記事の一行目からいきなり、
インデックス的パンチがさく裂します。

スティーブ・エドマンドソン氏には同僚がいない。


えっ!?



従業員ひとり?

運用総資産は、
(日本円でいうと)
3.6兆円規模の年金基金なのですよ。



そして・・

エドマンドソン氏の日々の投資戦略は、
取引を最小限に抑えるというもので、通常は何もしない。

 


「何もしない。」

「何もしない。」

「何もしない。」



わたしはネバダ州に行ったことがありません。

またスティーブさんにお会いしたこともありませんが、なんだか『お仲間』のような意識が芽生え始めました。

 





 

英国のEU離脱(ブレグジット)が決まった日、
同氏はいつも通りの時間に眠りに落ちていた。

 

株式市場で数パーセントポイントの急落があっても、
「私の心拍数が増加することはないだろう」と同氏は言う。


おおー、
インデックス的『達観さ』が伝わってきます。

 

同氏にとってニュースはあまり重要ではない。

2016年の米大統領選挙は
同氏のポートフォリオに影響するだろうか。「ノー」

原油価格はどうか。やはり「ノー」だ。


もう、惚れ込んでしまいそう。


巨大な運用資金があるのに、
こんなに『動かさない投資』を実践していて、
「大丈夫なの?」とあなたは思われるかもしれません。

 


が、WSJの記事によりますと、
『ネバダ州職員退職年金基金』の
直近10年間の運用実績(2016年時点)は、

 

米最大の公的年金基金である
カリフォルニア州退職年金基金(カルパース)や

その他の州で多くのスタッフを抱えている
年金基金の運用実績を上回っているのだそう。

 

 

 

 

スティーブさんが2005年に、
ネバダ州職員退職年金基金に
アナリストとして採用されたとき、

保有する株式の約60%が
「インデックスファンド」に組み込まれていました。

2012年にスティーブさんがCIOに就任すると、
彼はその運用をさらに『パッシブ(インデックス投資)』にシフトさせ、外部の運用マネジャー10人を解雇したのだそう・・。

 

 

記事の最後は、
次のような文章で結ばれています。

 

仮にネバダ州職員退職基金が
典型的なウォール街の運用会社に委託していたら、

 

年間の運用委託料は
約1億2000万ドルになっていただろう。

同年金基金の2016年の運用手数料は
1800万ドルである。

 


そう、
何もしないこと、彼方の目標のみを見据えることで『低コスト』の運用が可能になっているのです。


○ 働く人はたくさんいたほうがいいの?

○ 頻繁に情報をチェックし、
○ 頻繁に意思決定(売買)をしたほうがいいの?

○ できるだけ遅くまで
オフィスにいたほうがいいの?



○ 洒落たレストランで、
業界内の人たちと情報交換しながらランチしたほうがいいの?

○ 大きな出来事が起こるたびに、
投資家として何か意思表示したほうがいいの?


これらすべてに対して、
スティーブさんは明るく「NO」と答えているわけです。



彼こそ『市場にすべてを委ねる』
インデックス投資家の鏡だとわたしは思います。

 

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