経済よもやま話

金(ゴールド)は再び輝きを取り戻すのか?

2020年7月10日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ゴールドの価格が、
来年2021年に(1トロイオンス)2,000ドルになると予想する金融機関もあるようです。

 





画像元:Kitco


ちょっと深呼吸してみましょう。



今のゴールドの価格を気にするより、
ここは冷静に、
あなたの「横軸」に歴史時間を描いてみませんか?

 

わたしは
金(ゴールド)は、
遥か昔のほうがより輝いていたと思います。

 

たとえば、
株式市場がなかった時代はどうでしょう。



そもそも「株式会社」がない時代の投資とは?
投資家の『無限責任』が求められました。

「超儲かるか」あるいは「全財産ゼロになる」という世界だったのです。


また、ユダヤの聖典「タルムード」には

富は常に三分法で保有すべし。すなわち
3分の1を土地に、3分の1を商品に、残る3分の1を現金で」という格言がありますが、

上記はまだ、株式市場がない時代のお話です。
(商品とはゴールドに代表される資源を指します。)



どんどん歴史を上っていきますよ。

ふつうの民にとって、
小麦、稲など農作物を生み出す「土地」は長きにわたって有力な資産でした。

しかしこれとて、
一瞬にしてすべてを失う危険がありました。

天災地変がありましたし、
(家畜を飼うことで)疫病もたびたび発生していましたから。



しかし、もっとも厄介だったのは?

『戦争』でしょう。

 

 




 

戦争とは、
まさに資源の源である「土地」の奪い合いのことです。

 


争いというと
私たちは「国」と「国」をイメージしますが、
国民国家が成立したのは17世紀になってからのお話。


それまでの戦争は、
領土とか国の概念があいまいな中、

この村と、となりの村の小さな争い、○○族と□□族の戦い、△△帝国が治めている場所を奪還するなど、

当時の治世者、
つまりは首長や、貴族や、王様や、法王や、将軍など、
人の上に立つ人たちの『私欲』で行われていたケースが多かったのではないでしょうか。

 

 

これら人の上に立つ人たちの倫理観を維持するのは至難の業です。
実際、彼らはしばしば民衆に重税を課し、
己の地位にしがみつき、勝手気ままに振る舞いました。

「今日から□□を税として徴収する!
あの川筋を変えるために、今日から工事しろ!
本日から犬は殺してはならぬ(殺すと重罪じゃ)

○○の法律を△△に変えるぞ。
明日から貨幣を□□に変える!」などなど。
ひと言でいえば、ひどい!


まさにチカラにものを言わせる姿勢ですね。



そのたびに、
身分制に縛られていた民衆は為すすべがなく、途方に暮れていたのです。



今『貨幣』を変えるぞ!という話をしましたが、

昔、板谷敏彦さんの『金融の世界史』という本を読んでいて、
身勝手な王の話が出てきたのを思い出しました。




 

その王は、民衆から多額の借金をしていましたが、
返済のめどが立ちませんでした。

そこで王は、銀貨を拠出せねば死刑にするぞと民衆を脅し、
国のコインをすべて鋳造所に集めさせます。

「王がやったことは?」

 

一ドラクマ銀貨の上に、
二ドラクマ』と刻印を打ち直させたのです。


これで一瞬にして世の中のお金は「2倍」になりました。



王は名目上、民衆に借りたお金を全額返済しましたが、
貨幣の価値は『半減』しており、民衆のほうが大損したわけです。

 

 

 

 

しかし、歴史時間を振り返れば、上記の王の振る舞いなど、かわいいものかもしれません。

 

 

実際は、体制側を守るために、借金を棒引きにするとか、
ある日突然、通貨の名称や単位を変えてしまうとか、王が破産して、国が破たんして「もうこれまでのことはチャラだからね!」的に振る舞うとか、もう枚挙に暇がありません。

 

 

「経済の制度」そのものが、信用に足るものではなかったのです。

 

 

このように暗い、つらい、
明日に希望が見い出せなかった時代が、
人の歴史時間の大半を占めていました。

 


(「宗教」が、人間社会にこれだけ広がった理由もココにあるとわたしは思います!)


戦争が起ころうが、
天変地異が起ころうが、
王が失脚しようが、国の名前が変わろうが、貨幣が変わろうが、

どんなことがあっても変わらぬ価値を持つ金(ゴールド)は、

人々が明日に希望を見い出せなかったからこそ、
輝きを放つ貴重な財産であったはずなのです。

 

 

 


この『歴史的認識』を持つことが、
金(ゴールド)を理解するうえではとても重要。

 

あなたは、
明日に希望を見い出せない時代が再びやってくると思いますか?

 


YESなら、
あなたにとって金(ゴールド)は再び輝きを増す資産になります。


もちろん、わたしはNOと考えます。
わたしは基本的に進歩主義を信奉しているためです。

 

紆余曲折はあっても、
人は創意工夫と努力を重ね、
より豊かな暮らしを目指し続けることでしょう。

その『流れ』が、
根源的に途絶えてしまうとは到底思えません。



(ガンダムみたいな話で恐縮ですが、
200年後、300年後、やがて国というものはなくなり、地球連邦的な統治体制に移行し、私たちはいつか「地球人」になると思っています・・)


不安の風が吹くと、どうしても
金(ゴールド)の価格に目が行きますが、

 

(実は)資源価格に高いも安いも、
客観的基準となる『物差し』は存在していません。

金(ゴールド)は、
人の不安と希望の間で、
大きくその価格を上下させるだけなのです。

 


直近ではもちろん、
新型コロナウイルスの影響が気になります。



しかし、たとえウイルスがしぶとく居座ったとしても、
それは(長い目でみれば)
人間が新たな社会を築くインセンティブとなるのでは。

本来やってくる「ヴァーチャル社会」が前倒しされる、
という解釈も可能なのではないでしょうか?

そういう意味も含めて、
わたしは将来に対して『楽観』しています。

ですので、金(ゴールド)は買いません。

あなたはどうですか・・?

カテゴリ:経済よもやま話

おすすめの記事