経済よもやま話

大きな政府を望み続けると、経済が委縮してしまうかもしれません

2020年5月19日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。 

「今、おおかたは〇〇という意見ですが、
こういう視点を持てば、□□という考え方もありますよ



わたしはメディアの役割とは、上記のような『対案の提示』にあると考えます。

4月28日【日経新聞】電子版、
[社説]私権制限はどこまで許されるのか

 

 



画像元:日経新聞


上の記事は、
その意味で時流に流されず、
「大局の立場」に立って自説を繰り広げています。

 

危機管理は国民総体としての不利益を
最小化するための一時的な措置である。

恣意的な運用がなされないためにも、
より深刻な危機が来てから、
ドタバタで穴だらけの制度をつくる愚だけは絶対に避けるべきだ。


甚大なる危機が襲ってきた場合に、
『私権』が制限されるのはやむを得ないことです。



また、危機が発生した場合に、
超法規的に政府が最善と思われる決断を下すこともあり得るでしょう。

また、金融、財政政策的に
あらゆる資金の手当てを施すことも求められます。

しかしこれらは「一時的な措置」です。


(『政府』という言葉に対して、
『国民』という語を用いますが、)

国民のほうも危機の下、
(今、政府がやっていることは)
「あくまで例外的な措置なのだ・・」という意識が必要だと思います。

 

 

 



新型コロナウイルスは
各国政府の愚策が招いたものではありません。
『天災地変』のひとつです。



この根底を再認識しつつ、
社説より再び引用します。

 

憲法29条には「財産権は侵してはならない」とあるが、
これは国の都合で私権を制限し、私財を毀損した場合の規定だ。

コロナ危機のような天災がもたらす被害は本来、
一人ひとりが背負うべきリスクである。



すべて補償は行き過ぎ

もちろん、東日本大震災のような大災害の場合、
最低限の日常生活を維持できるようにしなければ
社会が持つ復元力が働かない。

地域コミュニティーの維持は、
国がなすべき基本的な仕事のひとつであるが、
すべての被害を国に背負わせるのは行き過ぎである。

 


上記社説の要旨は以下に集約できるでしょう。

「すべての被害を国に背負わせるのは行き過ぎである。」

 



あなたはどう思われますか?

 

 

 



 

新型コロナウイルスの影響で、世界中で数多の国が
未曾有の財政出動を開始しています。

これは・・私たちが「大きな政府」を求めているひとつの証左です。

 

同時に、すべての経済的被害(損害)を、
「政府」に負わせようとしていることにはならないでしょうか?

 

世の中、タダのお金はありません。

 


未曾有の財政政策は結局のところ、
私たちが将来返済すべき「借金」としてのしかかってくるわけです。


『大きな政府』が常態化してしまう危惧は、
The Economistのこちらの動画でも共有されています。

 

 


 

『Covid-19: how it will change the world | The Economist』



以下、カンによる意訳、一部引用です。

<新型コロナウイルスは政府の役割を変えることになるのか?>

数百年の歴史を振り返ると、
危機が起こったあとは例外なく、
政府の影響力は大きくなっています。

今回の新型コロナウイルスによる危機で
政府および政治家が謳っているのは、

出来ることなら、
すべての倒産を回避しましょう、すべての失業を防ぎましょう、
という意思表示です。



(聞こえはいいですが、)
これは『経済』に対する
政府の介入を促す「入り口」となってしまわないか。


ちょっと想像してみてください。

数年後、パンデミック(感染爆発)を克服したあとに
リセッション(不況)が再びやってきたとき、

多くの国民が、
パンデミック時にはさまざまな政策によって
『政府』が仕事や企業を守ってくれたと評価していれば、



前回、政府の政策がうまく機能したのだから、
今回(リセッション)も同様に尽力してくれるのでは・・?と、政府に期待しすぎることにならないか。



今後『政府への期待』という容量において、
大いなる変化を私たちは目撃することになるだろう。

 

 

 



画像元:The Economist

 

この、
「政府がやってくれるであろう」という期待値の増大は、

私見ですが、経済における私たちの『自立心の減退』につながりはしないでしょうか?

 


高い創造意欲を持ち、
新たな商品、サービスを世に問う企業家精神はほんらい、

お上(政府)には頼らないよ、という
独立独歩のマインドから発せられるものです。



特に英米において『大きな政府』が復活しつつあることに、
経済成長という意味合いにおいてわたしは危惧を抱いています。

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