経済よもやま話

WTI原油価格が暴落した理由

2020年4月21日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

よーく考えてみましょう。

新型コロナウイルスの拡大で
もっとも便益を受けているのは?

もしかすると「地球」かもしれません。

 

 


 


おそらく何十年かぶりで空気が澄んでいますからw

 

「なんか騒音小さくなっている?
大地が荒らされることも少なくなって、
水も心なしかキレイになってるぞ!」

 

と、

地球自身が驚いているかもしれません。


いっぽう、私たちヒトのほうでは
新型コロナウイルスの拡大が、
局所局所で大いなる歪みを現出しています。

まずはこちらをご覧ください。

 

 




原油価格が「マイナス」で
しかも記事の見出しが『急反発』っておかしいですよね。

実は、
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格、(正確には「期近5月物」の価格)が、

わずか1日の間に暴落し、
一時マイナス40ドルを付けました。



Bloomberg記事はこちら

 

それにしても
石油の値段が『マイナス』って・・。

 


これこそ、
新型コロナウイルス拡大による歪みの露出です。

何しろ、人も車も飛行機も機械も、
動かなくなったわけですから・・。

「原油」の需要が突然、
真っ逆さまに落ちてしまったのです。

 

 


期近5月物は、
本日4月21日に取引を終えることになります。

(つまり、現物の受け渡しの期日なのです)

 

原油を売る業者は(もしマイナス価格なら)
自らお金を支払って、
原油(実物)を引き取ってもらうという異例の事態です。


(※ 本日、シンガポール時間午前8時台には
WTI原油価格(期近5月物)はプラスの価格を回復しています。記事はこちら。)



要は物理的に
原油を備蓄する場所(スペース)が足りなくなってしまい、

マイナスでもいいから(原油を)引き取ってくれ!
という状況に近くなってしまったのです。

異常事態、ですね。


ただし、同じ商品(WTI原油)でも『6月物・清算値』、

つまり、6月に受け渡しを行うよという約束の「原油価格」は
21.85ドル(米国20日19時54分現在)となっています。

 






画像元:CME(Crude Oil Futures Quotes


そう、マイナス価格は

局所的、かつ一時的な現象に過ぎません。



それでも(今後もシャットダウンが続いていけば、)
原油価格が中期的に弱含む可能性があります。

皆さん、お風呂の栓を思い浮かべてみてください。

 

 




「栓を・抜いた状態」
= 健全な需要が存在している状態です。



この状況なら、
モノを生産し続けても(=水を流し続けても
正常価格が付き、どんどん生産も続けられます。


ところが、
「栓が・塞がった状態」が続いてしまうと、
それはすなわち『総需要の一斉後退』であり、

モノ、サービスを減産したとしても、
価格は弱含んでいく可能性が高いわけです。


私たちはまだ、
新型コロナウイルス拡大による多方面での「歪み」の現出を、正確には捉え切れていません。

 

3ヶ月後がよく見るメガネを掛ければ、
そこには残念ながら、

総需要後退、供給削減圧力による、
「リストラ」や「倒産」が日常化している現実が待っています。

 

 

『最悪に備えて、最善を尽くす』が
今の時点のベストプラクティスなのかもしれません・・。

 

【追記】4月22日、6月物WTI価格も続落・・10.82ドル。

 


画像元:CME

 

【追記 その2】2022年4月『ウクライナ侵攻で「過去50年で最大の価格ショック」=世銀

 

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