投資家の感情リスク, 経済よもやま話

ダウ平均、100年の歴史(2008年10月16日のブログ記事を再掲してみる)

2020年3月11日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。 

上記タイトルの通りです。

リーマンショックの最中に記した
2008年10月16日の『ブログ』を再掲してみます。

(※ 一部編集、修正済み。データはアップデートしています)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2008年に入って10ヶ月足らずの間に、
世界の株式市場はその価値を30~50%下げています。

(大陸中国とロシアの市場は60%以上下げました)
まさに歴史に残る【暴落】です。



「これはひどい!」
「これからいったいどうなるんだ!」
「もうワタシ、このファンドを売ります。」と言う前に、
私たちには検証すべきものがあります。

それは【過去】です。

「賢者は歴史に学ぶ」といいます。


私たちの先人は、
過去どのような暴落を経験してきたのか、
冷静に振り返ってみましょう。

 

具体例) アメリカダウ平均

 


今日、ダウ工業株30種平均と呼ばれる「アメリカダウ平均」は、
1896年にその算出をスタートさせました。
当初の構成銘柄はたったの12社。

ダウ平均は『40.94ドル』でスタートしています。


■ アメリカダウ平均 この100年
画像元:Dow Jones – DJIA – 100 Year Historical Chart




ダウ平均が「100ドル」から「200ドル」になるのに、
実に22年かかっています。

しかし、200ドルから300ドルになるには
1年ちょっとしかかかっていません。



そうです、時代は1920年代。狂喜の時代と呼ばれた【バブル】です。

 

 


大恐慌の始まりといわれる、
1929年10月末の株価暴落の直前、
ダウ平均は381.17ドルまで買い上げられていました。

そこから(12月にかけて)
198.69ドルまで約48%下落します。

これが、
大恐慌の「株価暴落」と思われている方が多いのですが、実はそうではありません。

底なしの不景気が
深刻化するのは1930年代に入ってからなのです。

 

■ アメリカダウ平均 1930~1939年

 


1930年、ダウは 248.48ドルでスタートしています。
そこから株価は坂道を転がるように下落し続け、
1932年には(とうとう)41.22ドルを付けました。

1929年の高値から見ると(なんと)約90%の下落です・・。

 

■ アメリカダウ平均 1950~1959年


ダウ平均は1954年にようやく、
1929年の高値を更新することになります。
(なんと25年かかっています。)

 

 

■ アメリカダウ平均 1970~1979年

 


1972年11月、
ダウ平均はついに 1,000ドルを突破しました。

ベトナム戦争は泥沼化していましたが、
アメリカの景気は決して悪くはありませんでした。



しかし、1973年10月に石油ショックが起き、
アメリカの景気後退とともに1974年、株式市場は下落を続けます。

原油価格が高騰、悪性のインフレが加速しました。
失業者も急増しました。
(そういえばウォーターゲート事件の発覚もちょうどこの頃です)

 

 

 

ダウ平均は1974年の12月に577.6ドルを付け、
直近の高値から実に45%の下落となりました。

ダウはその価値を回復するのに、
1982年まで待たなければなりませんでした。


■ 今から振り返ってみますと

1970年~79年末の10年間、
2000年~2009年末の10年間を「一ピリオド」として見ると、

ともにダウ平均は低迷し、
結果としてまったく上昇していません。


(そして、)1987年の暴落は?

あなたもよくご存知の「ブラックマンデー」です。
この日1日で、ダウ平均は508ドル(約22.6%)下落しました。

(ダウが元の価値を回復するのは、2年後の1989年のことです。)

 

■ そして2008年のリーマンショック。

 


米国株式は50%以上下げ、
ダウは直近の高値(2007年)を回復するのに
5年以上待たねばなりませんでした。

 


 

 

そして、2020年のコロナショックです。。

 

私たちの先人は強烈かつ容赦ない【暴落】を何度も何度も経験してきました。

 

 

不安、焦り、怒りという感情が
過度な「悲観」を醸成し、
長い低迷を余儀なくされたことが過去に何度もあったのです。

全財産を失ってしまった人。
投資から離れて、二度と投資の現場に戻らなかった人。
失業を余儀なくされた人。


ところが、
どんなに大きな下落が起こっても、
人が毎日生きるという「日常」は変わることがありませんでした(人はご飯を食べ、眠り、暮らしに癒しを求めます。)

 

 

 

 

人は不屈の精神を見せ、暴落のたびに、
経済活動に何らかの【イノベーション】(革新)を付加してきたのです。

 


私たちが市場の【習性】を変えることはできません。
私たちは市場の【習性】に慣れるだけなのです。

賢者は歴史に学びます・・。

 

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