高配当株、あるいは高配当株ETFはどうですか?(お客様からのご質問)
2020年1月20日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
川幅が少しずつ広がり、
上流から中流のほうに向かうと、
投資という行いも『多様性』を帯びてきます。
たとえば
セミリタイアされた
三菱サラリーマンさんは、
ご自身で60銘柄以上の
「高配当株式」に投資されています。
詳細記事はこちら。
ただ、
個々の銘柄の業績予想 → 配当・分配金の変化を注視し、
中期的には『他の銘柄との入れ替え』も考慮していかないといけません。
(ご自身も書いておられますが)
国別、業種別、通貨別のバランスに留意しながら、
自身でポートフォリオをアップデートされていくのでしょう。
『高配当株戦略』は、
買ったら終わりではなく、
買ってからが資産管理のスタートといえるのです。
次も、個別のカウンセリングで
しばしばいただくご質問です。
「カンさん。高配当ETFってどうなんでしょうか?」
はい、ETFは投資信託と同じく
「パッケージ」です。
数多の高配当株式をパッケージの形で持っていれば、
自身で銘柄の入れ替えを考慮する必要はありません。
(これは楽ちんですね!)
ETFは『指数』という物差しに乗っているビークルです。
『指数』そのものが、
確固とした銘柄組入れ・入れ替えの【判断基準】を持っていますから、
高配当の株を定期的に入れ替えてくれるわけです。
たとえば
バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)は、
「FTSE ハイディビデンドイールド指数」との連動を目指しています。
(もしもわたしが二択を迫られたら、
高配当株より、高配当株ETFを選ぶでしょう。)
あなたに(本当に)『分配金』が必要なのかどうか。
シンプルに考えてみましょう。
多めのインカム(分配金)を求めることで、
キャピタルゲイン(値上がり益)がちょっと犠牲になるってないのでしょうか?
以下、ふたつの米国株ETFの価格(直近5年間)を比べてみます。
バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)
バンガード・S&P500 ETF(VOO)
画像元:CNBC
青いほうがVYM、赤いほうがVOOです。
分配金はともに年4回(USドルベース)
まあ、当然なのでしょう・・。
「VYMのほうが多めの分配金を出すため、
値上がり益ではVOOに少し劣るよね」という理屈です。
それに、グロース株、バリュー株、大型株、中型株とまんべんなく銘柄分散がされるVOOに比べ、VYMは「大型・バリュー株」に絞った投資となります。
もちろん、
定期的にしっかり分配金が入ってくる効用も、あるのですよ。
投資において何かしらの「利益」を実感できることは、
自分への励み(精神安定剤)になります。
相場の急落や暴落があっても、
今まで積み上げたインカムに思いを馳せることで、耐えしのぎやすくなるでしょう。
忍耐ばかりでなく、
実利(インカム)もありながら、運用を続けることが出来る。
それが分配金の魅力。
ですが・・
(ETFの)分配金は都度課税されます。
(米国で10%、国内で20.315%課税されますが、確定申告して外国税額控除を使う事により一部支払った税金を取り戻すことが可能)
たとえ、その『分配金』を
ETF本体に再投資することが出来ても、
また階段を上ることにはなりませんか?
ココ、伝わっていますか?)
運用の最適ツールとして
わたしがETFから
インデックスファンドにシフトしていった理由のひとつに、
この『分配金』の存在があります。
⇒ まったく分配金を出さないインデックスファンドは、
なるだけ『税の繰り延べ』を維持したいという希望を叶えてくれます。
あなたは(もしかすると)
以下の例に当てはまったりしていませんか?
配当金が手元に溜まっていくばかりだ。
〇 高配当株ETF、REITなどを保有しているが、
分配金が積み上がっていくばかり。
このような場合、
インカムとして利益をもらうより、
それも含めてインデックスファンドとして運用してもらったほうが、
ニワトリはより太りやすくなると思いますよ・・。
最後に、もっとも重要なファクターとして・・。
配当金や分配金の増減に関しては、あなたの側で「コントロール」することが出来ません。
いっぽう無分配のインデックスファンドを長期保有して、定期的に「解約」を行い『インカム』を得れば、あなたの側にインカム(金額ベース)の『決定権』が生じます。
ココは大きなアドバンテージです。
カテゴリ:インデックス投資全般