お金は時に人間の欲望を増幅させる装置となります
2019年12月2日
こんにちは。
投資信託クリニック代表の カン・チュンド です。
2001年のことです。
青森県住宅供給公社を舞台に
14億円超の『横領事件』が発覚しました。
被告の千田郁司氏の妻である
アニータ・アルバラードなる女性が
一時期マスコミを賑わせたあの事件です。
正式名称は、
青森県住宅供給公社巨額横領事件と云います。
公社の経理担当だった千田氏が
複数の女性に多額の現金や貴金属を渡すために
横領を繰り返します。
その回数・・ナント100回以上!
おそらく千田氏は、
金品等をプレゼントすることでしか、
自分の気持ちを表現できなかったのでしょう。
女性に溺れ、自分に振り向いてもらうために
100回以上も横領された公金。
(新聞報道によると、
14億円超の横領のうち、
アニータさんに渡ったお金が11億円にも上るのだそう。)
長期間にわたり、
横領の事実を把握できなかった
公社の管理体制は大いに批判されるべきでしょう。
が、しかし、
わたしはあのような大金を
ただひたすら女性に注ぎ込んだ人間の、
『屈折した欲望』に震撼してしまいます。
人間の欲望を増幅させる装置となるのです。
この場合、
男女にまつわる『欲』が
マネーに媒介され暴走していきました。
では、男女の色欲以外では?
『ギャンブル』がその典型例でしょう。
「賭けごと」の厄介なところは、
その最終結果として儲かったのか、損したのか、ということが重要ではなくなる点です。
人間が「賭けごと」をすること自体に、
アドレナリンが分泌して興奮状態になってしまう。
大王製紙前会長の井川意高氏のように、
カジノで100億円以上熔かしてしまった人もいるわけで。
井川氏の著書
『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』に
(実際、体験した者でないと書けない)次のような文章があります。
カジノのテーブルについた瞬間、私の脳内には、
アドレナリンとドーパミンが噴出する。
勝ったときの高揚感もさることながら、
負けたときの悔しさと、次の瞬間に湧き立ってくる
「次は勝ってやる」という闘争心がまた妙な快楽を生む。
だから、勝っても負けてもやめられないのだ。
地獄の釜の蓋が開いた瀬戸際で味わう、
ジリジリと焼け焦げるような感覚がたまらない。
このヒリヒリ感がギャンブルの本当の恐ろしさなのだと思う。
冒頭のお話に戻りますが、
「公金を横領」
「会社のお金を着服」という類のニュースを聞くと、
その動機はたいてい『男女の色欲』であったり『ギャンブル』あったりします。
でも、ここ10年で多くなっているのが
「FX」(外国為替証拠金取引)で借金が膨らんでお金を横領したというケース。
分かりますよね・・、
「FX」は限りなくギャンブルに近い行為です。
(投資ではありません!)
もうひとつ『横領』云々と聞いて思うのは、
負の所業によって得たお金は、
(結局のところ)負のベクトルにしか向かわないということ。
会社のお金を着服して得た5億円で、
先進国株式ファンド、新興国株式ファンド等で
『ポートフォリオ』を組んで資産を増やした、なんて話は聞いたことがありません。
当人がすでに「お金の奴隷」になってしまっていますから、
横領した5億円は自堕落に、
為すがままに消費されてしまうのです・・。
お金が人をコントロールする
軸(主人公) になってしまえば、
10億円を1年間で消費してしまうなんて
別段難しくありません・・(ホントです)
現代という時代は特に、
その種の「増幅装置」に事欠かないですから・・。
カテゴリ:お金の摩訶不思議